- 著者
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             片柳 憲雄
             
             武藤 輝一
             
             田中 乙雄
             
             鈴木 力
             
             藍沢 喜久雄
             
             西巻 正
             
             田中 陽一
             
             武藤 一朗
             
             武田 信夫
             
             田中 申介
             
             鈴木 茂
             
             田中 典生
             
             藪崎 裕
             
             大森 克利
             
             多田 哲也
             
             鈴木 聡
             
             大日方 一夫
             
             曽我 淳
             
          
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.4, pp.968-976, 1991-04-01 
- 被引用文献数
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             18
             
             
             
          
        
        1989年末までの22年間に経験した食道癌症例814例のうち,他臓器に重複癌のある64例(7.9%)を対象として,手術術式,治療成績を中心に検討した.同時性2臓器重複癌は37例,異時性2臓器重複癌では食道癌先行が10例,他臓器癌先行が11例あり,3臓器以上の重複癌も6例に認めた.同時性重複癌の重複臓器は胃が25例と圧倒的に多く,このうち16例は早期胃癌であった.胃癌合併例では,早期癌が胃管作製時の切除範囲に含まれる場合を除いて胃全摘,結腸による再建を原則とした.同時性重複癌の両癌切除例の5生率は34.6%であり,少なくとも一方が非切除であった症例に対して有意に(p<0.05)良好であった.さらに,食道癌治癒切除例の予後は,5生率58.3%とほぼ満足できる成績であった.治療成績向上のためには,重複癌の存在を念頭においた診断と,両癌の治癒切除を目指した積極的な手術が重要であると思われた.