著者
田中 陽一 大住 倫弘 佐藤 剛介 森岡 周
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.117-122, 2019-02-15 (Released:2019-02-15)
参考文献数
21

地域在住の慢性疼痛症例に対し,疼痛強度の日内変動と日々の心理状態・身体活動量の調査を行った.症例は事故により右腕神経叢を損傷し,受傷以降右上肢に自発痛を有していた.14日間の調査の結果,疼痛の日内変動と身体活動量との関連では,低強度活動(家事や歩行などの立位を含む運動)が多いと疼痛強度が低下し,低強度活動が少ないと疼痛強度が増加する傾向が確認された.今回の低強度活動は,症例が日々の生活において重要度が高いと判断した「散歩」や「デイサービスの利用」などであることから,本人が重要と感じ,かつ低強度の運動時間を維持できる活動を行うことが,疼痛強度の低下に寄与したのではないかと考えられる.
著者
重藤 隼人 田中 陽一 古賀 優之 大住 倫弘 森岡 周
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.133-140, 2020-09-30 (Released:2020-09-30)
参考文献数
23

Central sensitization (CS) and psychological factors are associated with pain intensity. However, it has remained unclear whether the effects of central sensitivity syndromes and cognitive ⁄ emotional factors differ depending on the severity of pain and the pain quality. Our purposes were to perform subgrouping based on central sensitivity syndromes and pain intensity, and to clarify the difference in central sensitization syndrome and pain intensity between subgroups.Fifty–nine patients with musculoskeletal pain were included in this cross–sectional study. Pain intensity and psychological problems were assessed with Central sensitization inventory (CSI–9), Short–Form McGill Pain Questionnaire 2 (SFMPQ2), Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS), Pain Catastrophizing Scale (PCS–4). The cluster analysis with a ward method was used to divide patients into subgroups based on central sensitization syndrome and pain intensity. In addition, Kruskal–Wallis test, multiple comparison (Bonferroni method), and Fisher’s exact test were performed to compare clinical outcomes between subgroups. The level of significance was set at 5%.The cluster analysis classified into three subgroups. One subgroup of patients (n=11) was characterized by high level of central sensitivity syndromes, pain intensity and psychological problems. A second subgroup (n=19) was characterized by low level of central sensitivity syndromes, moderate level of pain intensity, high level of psychological problems. The third subgroup (n=29) was characterized by low level of central sensitivity syndromes, pain intensity and psychological problems. That is, one subgroup was mainly affected with central sensitivity syndromes, and another subgroup was affected psychological factors. These results indicated the differences in pain mechanism among subgroups.
著者
田中 陽一 福井 美晴
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.95-101, 2023-02-15 (Released:2023-02-15)
参考文献数
24

全人工膝関節置換術後(以下,TKA)に身体知覚異常を呈していた症例に対し,目標共有介入に加えて触圧覚識別課題を併用して実施した.約5週間の介入の結果,身体知覚異常の程度が改善し,疼痛強度も軽減した.本症例の介入結果により,TKA後には複合的な評価に基づき,評価結果から適切な治療介入を組み合わせることが有用ではないかと考えられた.
著者
金子 信博 中森 泰三 田中 陽一郎 黄 垚 大久保 達弘 飯塚 和也 逢沢 峰昭 齋藤 雅典 石井 秀樹 大手 信人 小林 大輔 金指 努 竹中 千里 恩田 裕一 野中 昌法
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第124回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.394, 2013 (Released:2013-08-20)

福島原発事故により汚染した森林の除染には、伐採や落葉除去だけでは十分でなく、処理した木材と落葉の処分も問題である。森林土壌から、安全に放射セシウムを除去する方法を提案する。落葉分解試験を、二本松市のコナラ林で2011年12月から2012年12月まで行った。6月には、落葉の放射性セシウム濃度は土壌の2倍から3倍となり、土壌の約12-18%が上方向に落葉へと移動した。この移動は、糸状菌が有機物上で生育する際に土壌からセシウムを取り込むためと考えた。落葉の代わりに伐採した樹木をウッドチップ化し、土壌のセシウムを糸状菌によってチップに集める方法を考案した。汚染地域の木材中の放射性セシウム濃度はまだ高くないので、森林を伐採し、現地で幹材をウッドチップ化しメッシュバッグに入れ、隙間なく置いて半年後に回収することで、低コストで安全に除染が可能である。半年程度経過したウッドチップはまだ分解が進んでいないので、安全な施設で燃焼し、灰を最終処分する。単に伐採して放置するのでなく、この方法で森林施業を積極的に継続しつつ、汚染木材をバイオ燃料として活用し、復興に活用することが可能である。
著者
浦野 直人 岡井 公彦 相川 和也 田中 陽一郎 石田 真巳
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.131-136, 2013 (Released:2014-01-07)
参考文献数
14

多摩川は日本の代表的な都市河川である。近郊の生活廃水や産業排水は、水再生センターを経て再生水として流れ込んでおり、河川水の抗生物質濃度は日本の都市河川中でも高レベルにある。本研究は、多摩川流域における多剤耐性菌の蔓延度の解析を行った報告である。2010年7月に上流(青梅市)、2011年5月に中流(立川市)と下流(川崎市)から、多摩川の表層水と底泥を採集した。1~8種類の抗生物質を含む培地を用いて、採集サンプルから一般細菌および抗生物質耐性菌をスクリーニングした。多摩川の表層水中の一般細菌数と抗生物質耐性菌数は上流から中流・下流へと下るにつれて増大したが、底泥中の一般生菌数と耐性菌数は中流が最も多かった。細菌数は環境中の有機物濃度と相関があると考えられた。多剤耐性菌は、下流では2剤耐性菌が多く、中流では3剤耐性菌、上流では5~8剤耐性菌と川を遡るにつれて、多剤耐性能が高くなった。5-8剤耐性菌群にはBacteroidetes門、2~3剤耐性菌群にはFirmicutes門が多かった。また、上流の一般細菌中にBacteroidetes門、下流のそれにFirmicutes門が多かった。従って、上流に多く生息しているBacteroidetes門は多剤耐性能が高くなり易いと考えられた。各流域において、多剤耐性菌中に重篤な病原性細菌は発見されなかったが、肺炎桿菌、食中毒菌、敗血症菌、腸炎菌の存在が見とめられ、上流に多く発見された。
著者
前田 顕之 大関 悟 有地 榮一郎 出雲 俊之 大鶴 洋 岡部 貞夫 小村 健 川辺 良一 桐田 忠昭 草間 幹夫 迫田 隅男 佐々木 朗 篠原 正徳 田中 陽一 中村 太保 野口 誠 又賀 泉 山城 正司
出版者
Japanese Society of Oral Oncology
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 = Journal of Japan Society for Oral Tumors (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.163-175, 2007-09-15
被引用文献数
1 1

舌癌治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での舌扁平上皮癌治療の現状を把握するためアンケート調査を行い, 75回答の集計結果から本邦における舌扁平上皮癌治療の現状を報告した。<BR>有効回答の得られた75施設の過去10年間 (1995-2004) における総症例数は5, 906例であった。T, N分類ではT2が2, 700例 (45.7%) , N0が4, 367例 (73.9%) と最も多かった。<BR>手術療法では原発巣の切除範囲の適応基準, 頸部リンパ節転移に対する頸部郭清術および舌癌切除後の再建術における適応と術式については, 各施設とも適応基準がほぼ共通しており標準的な治療ガイドラインの作成は可能であるように思われた。<BR>一方, 原発巣や頸部の放射線や化学療法による, 術前・術後の補助療法の目的と適応が各施設それぞれに基準があり, その標準化はガイドライン作成の大きな問題点になると思われた。いずれにしても質の高いエビデンスを持つ治療法をガイドラインに盛り込む必要がある。
著者
岩渕 博史 岩渕 絵美 内山 公男 高森 康次 永井 哲夫 田中 陽一
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.703-707, 2006-12-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

Glandular odontogenic cyst (GOC) was first proposed by Gardner et al in 1988 as an infrequent developmental epithelial cyst occurring in jaw bones. We describe our experience with a case of GOC arising in the mandible and report the clinical course. The patient was 52-year-old woman with clearly bordered multilocular radiolucent lesions in bothsides of the mandibular premolar region. These cysts were extirpated, and the specimens were studied by routine pathological examination and immunohistochemical staining with cytokeratins. The diagnosis was established to be GOC. The cyst recurred 3.5 years after surgery, and reoperation was performed.
著者
岩渕 博史 岩渕 絵美 内山 公男 高森 康次 永井 哲夫 田中 陽一
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.703-707, 2006-12-20
被引用文献数
2 1

Glandular odontogenic cyst (GOC) was first proposed by Gardner et al in 1988 as an infrequent developmental epithelial cyst occurring in jaw bones. We describe our experience with a case of GOC arising in the mandible and report the clinical course. The patient was 52-year-old woman with clearly bordered multilocular radiolucent lesions in bothsides of the mandibular premolar region. These cysts were extirpated, and the specimens were studied by routine pathological examination and immunohistochemical staining with cytokeratins. The diagnosis was established to be GOC. The cyst recurred 3.5 years after surgery, and reoperation was performed.
著者
片柳 憲雄 武藤 輝一 田中 乙雄 鈴木 力 藍沢 喜久雄 西巻 正 田中 陽一 武藤 一朗 武田 信夫 田中 申介 鈴木 茂 田中 典生 藪崎 裕 大森 克利 多田 哲也 鈴木 聡 大日方 一夫 曽我 淳
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.968-976, 1991-04-01
被引用文献数
18

1989年末までの22年間に経験した食道癌症例814例のうち,他臓器に重複癌のある64例(7.9%)を対象として,手術術式,治療成績を中心に検討した.同時性2臓器重複癌は37例,異時性2臓器重複癌では食道癌先行が10例,他臓器癌先行が11例あり,3臓器以上の重複癌も6例に認めた.同時性重複癌の重複臓器は胃が25例と圧倒的に多く,このうち16例は早期胃癌であった.胃癌合併例では,早期癌が胃管作製時の切除範囲に含まれる場合を除いて胃全摘,結腸による再建を原則とした.同時性重複癌の両癌切除例の5生率は34.6%であり,少なくとも一方が非切除であった症例に対して有意に(p<0.05)良好であった.さらに,食道癌治癒切除例の予後は,5生率58.3%とほぼ満足できる成績であった.治療成績向上のためには,重複癌の存在を念頭においた診断と,両癌の治癒切除を目指した積極的な手術が重要であると思われた.