著者
伊佐敷 隆弘
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学教育文化学部紀要. 人文科学 (ISSN:13454005)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-24, 2005-09

出来事個体の同一性に関するデイヴィドソン説(因果基準)とクワイン説(時空基準)について検討する。因果基準は「同じ時空領域に複数の出来事が生じる可能性」を,時空基準は「4次元主義的存在論(出来事と物体の同一視)」を,それぞれ主な根拠としている。デイヴィドソンはクワインからの批判を受け,因果基準を捨て時空基準を採るに至った。しかし,どちらの基準も循環を含み,また因果基準はデイヴィドソンの単称因果言明分析と相性が悪く,時空基準はデイヴィドソンの非法則的一元論と相性が悪い。それゆえ,デイヴィドソンの転向は早計過ぎた。彼は他の可能性を探るべきだった。

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