著者
秦野 悦子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.p160-168, 1979-09

3歳から6∼7歳のいわゆる就学前後期の言語獲得途上における子どもについて,提題助詞「は」,および主格助詞「が」の使用と文中での意味理解を,模倣完成課題を用いて研究した。 聴覚刺激として雑音挿入の不完全文(18文)と,操作を加えていない完全文(10文)を用い,課題解決の手掛りとして,補助的に絵カード(9枚)を提示した。被験者に文の直後模倣再生を求めた。 主な結果は次のようなものである。 1,「が」は「は」より早期に習得され,「は」の正しい使用は就学後の子どもに認められる。 2,6才以上の子どもは,旧情報や,人の感情とか情緒が加わる判断の記述,また,一般に固定した観念の描写の際に,「は」使用を行う。 3,4才以上の子どもは,新情報や,現象の記述,また,眼前描写の際に「が」使用を行う。 4,「は」「が」の習得水準として,次のような段階が示唆される。 水準1:課題文の意味をまったく理解しない段階,つまり,無発話だったり,課題文と無関係な発話をしたり,課題文中の一部の要素を取り出して発話する段階である。 水準2:完全文課題が与えられた場合「が」使用はできるが,その他の場合,助詞欠如,乱用をする段階である。 水準3:完全文課題が与えられた場合,「は」「が」の使用はできるが,不完全文課題では,助詞欠如,乱用,をする段階である。 水準4:2つの助詞を一貫した使い分け基準により使用できる段階である。またこれは,成人の使い分け基準と一致している。 5,「名詞(句)+は+名詞(句)+が+述部」型文は子どもにとっても日常生活で習慣的に使われている型だと認められた。また,旧情報を伝える時,「名詞(句)+は」の省略傾向は,子どもにおいても認められた。

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