著者
岩川 孝志 中村 好男 村岡 功
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.491-499, 2001-08-01
被引用文献数
1 2

本研究では自転車ペダリング運動中の活動筋における筋酸素化動態を自転車競技選と一般学生とで比較した.被験者として大学自転車部員6名 (サイクリスト群) と一般学生5名 (非サイクリスト群) を用いた.被験者には自転車エルゴメータ上で2分間の安静を保たせた後, 50 Wattでのウォーミングアップを2分間, 引き続いて150 Wattでの本運動を5分間行わせた.ただし, 本運動でのペダル回転数は40, 60, 90, および120 rpmの4種類とし, それぞれを1試行ずつ計4試行を行った.また, どの試行においてもウォーミングアップ時のペダル回転数は60 rpmとした.安静時から運動終了まで左脚外側広筋部の筋酸素化動態を近赤外空間分解法によって測定した.<BR>Oxy-Hb/Mbはサイクリスト群で非サイクリスト群と比較して有意に高い値を示したが, 群とペダル回転数による有意な交互作用は観察されなかった.従って, ペダル回転数の変化に対する筋酸素化動態の応答には, 両群で違いがないことが示唆された.<BR>またペダリング頻度の増大に伴って全身の酸素消費量は増大し, エネルギー効率が低下する一方で, Oxy-Hb/Mbはペダル回転数が毎分90回転までは有意な変化がなく, 毎分120回転に達すると安静時, および他のどのペダル回転数と比較しても有意に低値を示した.さらに, Deoxy-Hb/Mbも同様にペダル回転数が毎分90回転に達するまでは有意な変化はなく, 毎分120回転に達すると安静時, および他のペダル回転数と比較して有意に増大した.<BR>このことから, 毎分120回転では外側広筋部において脱酸素化が亢進したものと考えられ, 毎分120回転では外側広筋において酸素消費が, 低い回転数と比較して急増したことが示唆された.このことは逆に, 毎分120回転前後にペダル回転数を増大させると, 外側広筋での効率が大きく低下する可能性を示しており, 外側広筋での効率を急に低下させない最も高いペダル回転数は毎分90回転前後で発現すると思われる.

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CiNii 論文 -  サイクリストと非サイクリストにおけるペダリング運動中の大腿部の筋酸素化動態の比較 https://t.co/cZhyt8WiJa #CiNii

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