著者
鶴若 麻理 岡安 大仁
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.58-63, 2000-09-13
被引用文献数
1

筆者(鶴若)が行ったチャプレンを中心としたインタビュー調査によると、わが国の末期がん患者に対するスピリチュアルケアは、一部のホスピスや病院において意欲的に取り組まれているが、必ずしも組織的・効果的に展開されているとは言えなかった。従って現状では医師や看護婦が、具体的支援を検討することが期待された。具体的支援を行うためには、まずスピリチュアル・ニーズがどのように表現されるのか検討する必要があろう。そこで、本稿では(1)日本死の臨床研究会年次大会の演題の推移から、我が国のスピリチュアルケアの概念の形成を分析した。(2)『看護学雑誌』(医学書院)および『がん看護』(南江堂)におけるスピリチュアルケアに関する論文を調べた。(3)筆者がホスピスボランティアとして関わった末期がん患者との対話から、スピリチュアル・ニーズとは具体的にどのように表現され、また身体的、社会的、心理・情緒的苦痛とどのように関連しているものなのかを検討した。

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