著者
高世 秀仁 桑名 斉 岡安 大仁
出版者
NIHON UNIVERSITY MEDICAL ASSOCIATION
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.320-325, 2013

介護療養病床における終末期高齢者に対する皮下輸液の効果を静脈輸液と比較して検討した.対象は2007 年から 2010 年に介護療養病床で終末期に輸液治療をおこない死亡退院した 92 例. 基礎疾患は脳血管疾患 48 例 (52.2%),認知症 11 例 (12.0%),悪性腫瘍 5 例 (5.4%).皮下輸液 (HDC) 群と静脈輸液 (IV) 群で終末期の輸液期間,輸液量,臨床経過を後ろ向きに検討した.HDC 群24 例,年齢の中央値 85 歳,IV 群 68 例,年齢 84 歳.HDC 群で基礎疾患に認知症が多かったが,死因は有意差を認めなかった.輸液期間は HDC 群 36.5 (5-107) 日,IV 群 34.5 (3-158) 日で有意差なく,輸液量は HDC 群 500 (250-700) ml /日,IV 群 750 (500-1200) ml /日でHDC 群が有意に少なかった.下肢,背部等の浮腫はHDC 群の 9 例 (7.5%),IV 群の 39 例 (57.4%) に認めたが有意差はなかった.両群とも穿刺部の腫脹,発赤,疼痛,感染などの有害事象はなく,IV 例 10 例で静脈確保が困難で皮下輸液に変更した.介護療養病床における終末期高齢者に対する皮下輸液は静脈輸液と同等の延命効果と安全性を認めた.
著者
高世 秀仁 桑名 斉 岡安 大仁
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.320-325, 2013

介護療養病床における終末期高齢者に対する皮下輸液の効果を静脈輸液と比較して検討した.対象は2007 年から 2010 年に介護療養病床で終末期に輸液治療をおこない死亡退院した 92 例. 基礎疾患は脳血管疾患 48 例 (52.2%),認知症 11 例 (12.0%),悪性腫瘍 5 例 (5.4%).皮下輸液 (HDC) 群と静脈輸液 (IV) 群で終末期の輸液期間,輸液量,臨床経過を後ろ向きに検討した.HDC 群24 例,年齢の中央値 85 歳,IV 群 68 例,年齢 84 歳.HDC 群で基礎疾患に認知症が多かったが,死因は有意差を認めなかった.輸液期間は HDC 群 36.5 (5-107) 日,IV 群 34.5 (3-158) 日で有意差なく,輸液量は HDC 群 500 (250-700) ml /日,IV 群 750 (500-1200) ml /日でHDC 群が有意に少なかった.下肢,背部等の浮腫はHDC 群の 9 例 (7.5%),IV 群の 39 例 (57.4%) に認めたが有意差はなかった.両群とも穿刺部の腫脹,発赤,疼痛,感染などの有害事象はなく,IV 例 10 例で静脈確保が困難で皮下輸液に変更した.介護療養病床における終末期高齢者に対する皮下輸液は静脈輸液と同等の延命効果と安全性を認めた.
著者
鶴若 麻理 岡安 大仁
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.91-96, 2001-09-17
被引用文献数
2

近年、特にターミナルケアの分野で、スピリチュアルケアに関心が集まっている。「スピリチュアル」という概念が、わが国の文化や伝統の中で、どのように展開されていくのか、また患者の「スピリチュアリティ」を把握するために、日本での客観的な尺度を作成する必要があるなどの議論がなされている。しかしながら、それらの議論をより充実させるためには、まず、欧米のホスピスケア理念において、「スピリチュアル」という概念が、いかに展開されてきたのか、またどのようなスピリチュアルケアに関する研究がなされているのかを、改めて検討する必要があると考えられる。そこで本稿では、実際欧米では、ターミナルケアの領域を中心にして、どのようなスピリチュアルケアに関する研究が行われているのかを、文献を通して報告し、今後のわが国のスピリチュアルケア研究の一助とすることを目的とした。
著者
鶴若 麻理 岡安 大仁
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.58-63, 2000-09-13
被引用文献数
1

筆者(鶴若)が行ったチャプレンを中心としたインタビュー調査によると、わが国の末期がん患者に対するスピリチュアルケアは、一部のホスピスや病院において意欲的に取り組まれているが、必ずしも組織的・効果的に展開されているとは言えなかった。従って現状では医師や看護婦が、具体的支援を検討することが期待された。具体的支援を行うためには、まずスピリチュアル・ニーズがどのように表現されるのか検討する必要があろう。そこで、本稿では(1)日本死の臨床研究会年次大会の演題の推移から、我が国のスピリチュアルケアの概念の形成を分析した。(2)『看護学雑誌』(医学書院)および『がん看護』(南江堂)におけるスピリチュアルケアに関する論文を調べた。(3)筆者がホスピスボランティアとして関わった末期がん患者との対話から、スピリチュアル・ニーズとは具体的にどのように表現され、また身体的、社会的、心理・情緒的苦痛とどのように関連しているものなのかを検討した。
著者
鶴若 麻理 岡安 大仁
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.91-96, 2001-09-17 (Released:2017-04-27)
参考文献数
45
被引用文献数
1

近年、特にターミナルケアの分野で、スピリチュアルケアに関心が集まっている。「スピリチュアル」という概念が、わが国の文化や伝統の中で、どのように展開されていくのか、また患者の「スピリチュアリティ」を把握するために、日本での客観的な尺度を作成する必要があるなどの議論がなされている。しかしながら、それらの議論をより充実させるためには、まず、欧米のホスピスケア理念において、「スピリチュアル」という概念が、いかに展開されてきたのか、またどのようなスピリチュアルケアに関する研究がなされているのかを、改めて検討する必要があると考えられる。そこで本稿では、実際欧米では、ターミナルケアの領域を中心にして、どのようなスピリチュアルケアに関する研究が行われているのかを、文献を通して報告し、今後のわが国のスピリチュアルケア研究の一助とすることを目的とした。
著者
岡安 大仁
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2005-2009, 1996-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

Saunders Cが1967年にロンドン郊外に近代ホスピスを創設したことによって,ホスピス運動は,火の如く世界に広がりつつある.ここでは,ホスピスの具体例から解説するとともに,近代ホスピスの由来と働きの目標を述べ,さらに5つのタイプについても簡述した.さらにホスピスの教育が,今後の医学,看護教育に果たす役割りについてもふれ,また,ホスピスの研究が単に症状緩和にとどまらないことを強調した.
著者
滝沢 一樹 浴村 正治 中村 泰彦 森脇 紀夫 内村 実 内山 照雄 岡安 大仁 萩原 忠文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-25

59才男主訴は咳臓,喀疾,胞内苦悶感,昭和47年12月末日レ線上異常陰影を発見,生検で扁平上皮癌であった.昭和48年4月19日当科入院,胸レ線上空洞を伴なう異常陰影を認め,肺化膿症の合併を認めた,AB-PC.BLM放射線療法を開始したが入院後72日で死亡,剖検では左肺門部のごく一部に分化した扁平上皮癌を認めほぼ左肺全体を占める化膿性空洞を形成していた.癌自体より,化膿症による変化が主体で,肺癌治療中に合併した肺感染症の治療の重要性を再認識した.