著者
大淵 憲一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.p37-47, 1985-08

大阪府下に住む社会人124名と大学生130名に対して,Averillの質問紙「怒りの日常的経験」を施行した。これは,被験者が最近経験した怒りの出来事を想起させ,それについて挑発因,動機,反応など様々の観点から評定させるものである。本編では,怒りの経験の性差を媒介する要因を明らかにするために,被験者の性別と身分,対象の性別,対象との関係を要因とする分散分析と対数線型分析によってそれらの交互作用を分析した。その結果,(1)怒りの経験の性差は大学生よりも社会人において生じやすく,年長者ほど性差が顕著になることが示された;(2)対象の性別は重要な要因ではなく,怒りの下では人々は相手が男性であっても女性であってもよく似た反応をしやすい;(3)今回取り上げた要因中では,対象との関係が最大のもので,最も多くの有意な交互作用が得られた。特に,女性は親しい対象に対しては攻撃反応を行いやすく,男性は反対に親しくない対象に対して行いやすいことは,攻撃反応の性差が対象との関係に依存することを明らかにしている。

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CiNii 論文 -  怒りの経験における男女差の検討--身分,対象の性別及び被験者との交互作用効果 https://t.co/i3td5lpKX5

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