著者
大淵 憲一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.p25-32, 1987-08

大阪府下に住む成人123名と130名の大学生に対して,Averillの質問紙「怒りの日常的経験」を施行した。この質問紙は,被験者が最近経験した怒りの出来事を想起させ,それについて,挑発因,動機,反応など様々の観点から評定させるものである。本稿では,彼らの回答について性差を検討する分析を行なった。その結果,怒った時女性は男性に比べて,関接的攻撃反応,非攻撃的反応,それに消化器系の症状が多く,血管系の症状は少なかった。また,女性は家族に向けた怒りが多かったのに対して,男性は友人に対する怒りが多かった。さらに,女性は男性より怒りの出来事の後で,不愉快な感情を残す傾向が見られた。また,いくつかの項目において,性差は大学生よりも社会人において顕著に見られた。以上のような性差が見られたとは言え,怒りの経験には一方で男女の間に多くの類似性もあった。とりわけ,怒りの強度や頻度,挑発的諸側面,動機,それに,直接的攻撃反応について両性はよく似ていた。

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