- 著者
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山岡 正輝
廣田 和也
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理 (ISSN:04478053)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.5, pp.522-527, 2004-05-15
- 参考文献数
- 8
欧州連合(EU : European Union)に加盟する15カ国(以下,この地域を欧州と呼ぶ)は,各加盟国の自主性を尊重しながら,欧州憲法の制定やユーロという単一通貨の導入など,各国の枠を超えた共有圏の実現を目指している.当然のことであるが,このような欧州の大方針は,電子政府実現に向けての欧州の取り組みにも大きな影響を与えている.各国ごとに自律している既存の電子政府システムを活かしながら,国を超えた電子政府サービスの実現を図ろうとする試みがされているのである.このように,EU各加盟国の電子政府システムの自律性を尊重しながら,欧州共有の電子政府実現を目指して,各加盟国の電子政府システムの相互運用性(インターオペラビリティ)確保に重点が置かれていることが,電子政府実現に向けての欧州の取り組みの特徴の1つであるといえる.米国では,電子政府システム構築計画の策定にあたり,IT投資やITシステム管理を最適化するための政府行政機関全体の設計図(Federal Enterprise Architecture)1)を構築することの重要性が指摘されている.これとは対照的に,欧州では,自律している既存のシステムのインターオペラビリティを確保するためのアーキテクチャを構築し共有を図ることが重視されている.本稿では,欧州の電子政府施策について,インターオペラビリティの確保に焦点をあて,具体的な事例を紹介する."