- 著者
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吉田 和幸
牛島 和夫
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.6, pp.789-795, 1983-11-15
- 被引用文献数
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1
ソフトウェア開発の初期の段階においてプロトタイプを組み立てて実際に動かしてみて問題点を認識する作業は有用である.開発中のソフトウェアが文字列データの処理を中心とする場合などにはSNOBOL4を使うと容易にそのプロトタイプの構築ができる.一方 プログラム中の各文の実行回数を知ることはプログラムの開発や改善に役立つ.SNOBOL4によるプロトタイプ作成を助けるために 既存のSNOBOL4処理系に実行回数計数機能を追加した.原著者の許可を得て入手したこの処理系は SIL(SNOBOL4 Implementation Language)という抽象言語で書かれたもの(OS 360 用)である.これをFACOM OS IV/F4のもとに移し換える際に各文の実行回数を計数してソーステキストと並ぺて表示する機能を追加した.さらにこの処理系をIBM VM/370 CMS とHITAC VOS 3のもとに移し縦えた.本論文では 簡単なプロトタイプ作成の実例をとおして実行回数計数機能の評価を行う.さらに実行回数計数機能の実現の概要について述べ 機能追加作業が比較的容易に行えた理由をSIL設計の観点から考察する.最後に実行回数計数機能追加版SNOBOL4の移し換えについて述べる.