著者
平井 誠 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.892-899, 1986-09-15
被引用文献数
1

日本語解析システムMARION-IVにおける名飼と用言の辞書情報および単文内の必須格要素と自由格要素の一解析手法を述べる.名詞の意味は 独立した二つの概念階層と6種類のリンクによる意味ネットワークを用いて記述している.概念階層は「具象 - 抽象」を基本分類とし 対象の客観的性質の記述に重点を置いたものと「自然 - 人工」および「操作性」を基本とし 人間と対象との関係に重点を置いたものである.意味リンクは「対象 - 属性 部分 - 全体」等の一般に周知の関係のほかに 「対象 - 提供物」を示すPROVIDEリンクを導入した.用言の構文および意味特性は 意志性(可制御性) アスペクト素性 移動性 作用性 格構造 格要素の意味規定等によって記述している.移動性は移動 変化 存在 発生 消滅を表す動詞の構造的記述であり 作用性は格要素間の因果関係の構造的記述である.必須格要素の解析は 格構造と名詞句内の助詞列の照合および名詞の意味記述を用いた格要素の意味調査により行っている.態変換は助動詞等に付加した規則で行っている.自由格要素は (1)事象間関係 (2)事象あるいは格要素の属性値 (3)意味的名詞並列に分類している.(1)は意志性とアスペクト素性を用いて解析している.(2)は意味ネットワークの探索により解析している.その際 事象(用言)の持つ属性は移動性や作用性から決定している.(3)は名詞間のリンクに基づいた概念的距離を用いて解析している.

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