著者
平井 誠 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.240-249, 1987-03-15
被引用文献数
1

計算機による日本語文解析には動詞の表層格構造が広く用いられているが その際の主要な問題点として 1)名詞句内の多様な助詞表現をいかに格構造記述に吸収し 文解析に利用するか 2)助動詞および補助用言によって惹起される表層格構造の変化にどう対応するか という2点が挙げられる.1)については 名詞句の構文的特性を一組の格助詞で表現された表層格と助詞列から一意的に決まる"格の強度"という2属性で表現した.格助詞を含まない名詞句に 格助詞で表現された表層格を与えるために 係助詞と副助詞に対してそれらが代行可能な格助詞を"潜在格"として付与した.これにより 表層格構造が格助詞だけで記述可能になるとともに 単文の形態的制限を格構造に反映することが可能になった.2)に関しては 助動詞「させる られる たい できる」 補助用言「もらう する おく やすい」等について格変化の様式を決定する構文的および意味的特性を整理し 各々に対応する格構造変換規則としてまとめるとともに一般的な用言句の表層格構造を自立語用言の格構造から生成する手続きを示した.格変化の様式を決定する要因は1)格構造に含まれる格の種類 2)意志性 3)「移動 変化 発生 消滅」という観点からみた動詞の概念的構造 4)動詞の格要素間の関係(因果関係 物理的関係 パラメータ的関係) 5)格要素の有生無生の別である.

言及状況

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こんな論文どうですか? 格の強度と述語の構文および意味属性を用いた格構造の変換生成について(平井 誠ほか),1987 https://t.co/vEluft07Zr 計算機による日本語文解析には動詞の表層格構造が広く用いられているが その際の主要な…

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