著者
竹内 勇剛 片桐 恭弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.623-631, 1999-02-15
被引用文献数
11

本研究では マルチタスク/マルチウィンドウを可能とするコンピュータにおいて 人格化にともなう個体性が個々のウィンドウに対して帰属されるかを社会心理学的手法を用いて実証する. 個体性の帰属を観察するために 人-コンピュータ間における礼儀(politeness)に基づく対人インタラクションに注目する. 人-コンピュータ間においても人-人同様の「礼儀」に基づくインクラクションが観察されるとき 人はコンピュータを人格化していると考えられる. 実験では 最初にコンピュータ画面上のあるウィンドウからCAI形式による情報提供が被験者に対して行われた. 次に 以下の3条件によってその情報提供に関する心的評価の回答を求めた:(a)情報提供を行ったウィンドウ自身に評価を行う. (b)情報提供を行ったウィンドウとは異なるウィンドウに評価を行う. (c)情報提供を行ったウィンドウとは異なるウィンドウに評価を行う 先行して情報提供をしたウィンドウは画面上から消えている. その結果 コンピュータ使用に熟練した者では (a) (b)条件における評価がどちらも(c)条件より有意に高かった. だが コンピュータ使用に熟練していない者ではこれらの差は観察されなかった. これらのことから コンピュータの機構を熟知している者は個々のウィンドウに対して個体性を帰属させ そうでない者は物理的な実体としてのコンピュータに個体性を帰属させていることが明らかになった.Recent studies on social responses in human-computer interaction have been finding affirmative evidences which indicate that even when people interact with computer systems, people automatically and unconsciously apply social rules and principles in human-human interaction, and respond socially to computers as if they are human. This study focuses on "politeness", one of the most powerful and universal factors governing social interaction between humans, and experimentally investigates whether human-computer interaction is also dictated by politeness. The issue of attribution of individuality in interaction is also explored. A set of experimental conditions are setup to determine whether people respond to machines, visible and tangible units of hardware, or to windows, functional units of channels for interaction. The results of the experiment indicate that people who are expert computer users exhibit politeness driven responses directed toward windows as separate social individuals.

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こんな論文どうですか? 社会的な人 : コンピュータインタラクションにおける個体性の帰属 (<特集>ヒューマンインタフェースとインタラクション)(竹内勇剛ほか),1999 http://id.CiNii.jp/LlPyL
こんな論文どうですか? 社会的な人 : コンピュータインタラクションにおける個体性の帰属 (<特集>ヒューマンインタフェースとインタラクション),1999 http://ci.nii.ac.jp/naid/110002764816

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