- 著者
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田口 友康
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
- 巻号頁・発行日
- vol.2002, no.40, pp.67-72, 2002-05-18
- 被引用文献数
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音楽作品は演奏表現によって異なる印象を与える。本研究は、演奏上の物理的な変量を制御することによってどのような演奏表現の表出が可能かという問題を取り扱う。表題のピアノ曲について主としてその運動感が得られるような速度、音量、継切、非同時打鍵、ダンパーペダル深さの各パラメータを時間発展的に与えることを筆者自身の実験によって行った。ここに速度は記譜音価の伸縮、音量はラウドネスの等感曲線に基づく変量の大小、継切は発音音価と記譜音価との比で定義される充填率によって記述する。対象とする曲について意図する演奏表現をまず言語的に記述して、次にそれを実現すると考えられる上記の5パラメータを拍時刻の関数として与えて具体的な演奏を生成した。報告では、第1楽章第1主題と移行部について、速度、音量、継切の3パラメータの時間発展図を示す。Music compositions give us different impressions when they are presented with different performace practices. This study deals with the problem on what effects the physical variables in piano performance, i.e., agogics, dynamics, articulation, non-synchorous key depression, and the depth of damper pedal, induce in the musical expression. The main concern is the realization of author's intention of musical exression in verbal statement that includes the expression of motion such as vividness, lightness, etc. The temporal change of agogics, dynamics and articulation is shown graphically from a realization of First theme and Transition of the first movement of Piano Sonata K. 311 by Mozart.