- 著者
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内田 和子
- 出版者
- 地理科学学会
- 雑誌
- 地理科学 (ISSN:02864886)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1, pp.1-16, 1989
筆者は治水費用賦課の観点から,水害常習地域における水害予防組合の解体する過程を明らかにしようとした。事例として鶴見川水害予防組合において,治水費用の分析・考察を行った。その結果,次の諸点が明らかになった。(1)主として流域内の水害危険度の差異による多種類の賦課金が河川改修の進展によって,一律の賦課となった。(2)流域内の都市化に伴い,住民の防災意識が変化して,特に1965(昭和40)年以降組合費の納入状況が悪化した。そのため歳入面では地方公共団体からの補助金への依存率が高まった。(3)歳出面では,都市化に伴う水害の増加により,管理費が減少し,警備費と積立金が増加した。したがって鶴見川水書予防組合は,都市化,河川改修,住民の防災意識の変化を要因として解散し,地方公共団体の費用で運営される水害予防協会に変化した。