- 著者
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牧野 由香里
永野 和男
- 出版者
- 日本教育工学会
- 雑誌
- 日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.4, pp.225-235, 2002-03-20
- 被引用文献数
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7
新しい教育課程ではコミュニケーション能力の育成を重視しているが,理論的な枠組みや具体的な教育方法は十分に検討されていない.著者らは,理論と演習体験を結びつけたコミュニケーション教育カリキュラム(スピーチ演習パッケージ)を間発した.平成9年度から平成11年度の3年間に大学生を対象に行ったカリキュラム開発の分析結果から,次の3点が明らかになった.(1)論理体系と説得表現の活用能力(日本と欧米に発達した論理体系および説得表現を場面や聞き手の状況に応じて使い分ける能力)の育成に成果を得た.(2)自己評価の能力(スピーチが含む要素を論理体系のカテゴリーごとに分類し,優れた点や問題点を判断する能力)の育成に成果を得た.(3)自己評価能力の育成は,論理体系の活用能力の育成に貢献し,その学習効果は教師の評価を一方的に受ける体験を上回った.