著者
樋口 光徳 塩 豊 鈴木 弘行 藤生 浩一 管野 隆三 後藤 満一
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.35-39, 2003-02-20

背景.野口の分類A,B型の微小肺腺癌の予後は良好であり,この型の肺癌に悪性胸水を認めたとする報告はない.症例.42歳,女性.検診にて胸部異常陰影を指摘され当院受診.胸部CTにて左S^<1+2>に径4mm大のGGO(ground glass opacity)を認めた.全身検索では他病巣を認めなかった.2000年8月11日,術直前にCTガイド下に腫瘍近傍にマーキングを行った後,左上大区区域切除術(ND0)を施行した.この際,胸腔内に漿液性の胸水を少量認め,細胞診にてclass V (高分化型腺癌)と診断された.主病巣はlocalized bronchioloalveolar carcinoma (野口の分類A型)と診断された.術後補助化学療法を施行し,1年9ヶ月経過した現在,局所再発・遠隔転移の兆候なく生存中である.野口A,B型では悪性胸水を認めたとする報告はなく,本症例ではその発生機序に疑問が残る.検体の再評価では上皮性マーカーに陽性であり,悪性所見は否定できなかった.結論.整合性のない病理所見に対しては検体の再評価を行い,臨床経過も考慮して総合的に診断する必要があると思われた.(肺癌.2003 ; 43 : 35-39)

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