著者
池野 英利 神山 斉己 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.1047-1054, 1993-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
5

生物神経系は神経細胞の電気・化学的特性によって実現された高度な情報処理機構を備えている.細胞膜を通過するイオン電流は神経細胞の電気的特性を規定することから,神経回路の機能に対しても影響を及ぼす.このことから,イオン電流のモデル記述およびこれに基づく生理工学的解析は,神経系における情報処理機構の解明にとって極めて重要なアプローチの一つである.イオン電流は膜電位固定実験法によって測定でき,その動的,かつ非線形な特性はHodgkin-Huxley型方程式によって一般的に記述される^<(1)>.しかしながら,この方程式に含まれる時間および膜電位に依存した複雑なパラメータを実験データから推定する方法は確立されておらず,このことはモデル記述を得る上で大きな問題であった.本論文では,4種類の膜電位固定実験プロトコルによって測定されたイオン電流に対し,非線形最適化法を用いた系統的パラメータ推定法を提案する.本方法をHodgkin-Huxleyのナトリウム,カリウム電流モデルによって生成した模擬実験データに適用し,イオン電流特性および細胞応答の再構成を通じてその有効性を示した.

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト