著者
魏 回 北村 正 岩田 彰 鈴村 宣夫
出版者
電子情報通信学会情報・システムソサイエティ
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.689-696, 1992-04-25
被引用文献数
4

多数のカテゴリーを分類する一つの手法として,我々は大規模ニューラルネット(CombNET-II)を提案した.これは,前段に入力ベクトルを大分類するためのベクトル量子化型ニューラルネットを配置し,後段にグループ内のデータを細分類するための階層ニューラルネットを配置した.くし型の構成をしている.本論文では,CombNET-IIを用いる大語いの音声認識手法を提案し,この方法を中国語の単語音声認識に適用し,その有用性について検討する.音声信号から2次元メルケプストラム法によって求められる特徴量をCombNET-IIの入力に用いる.2次元メルケプストラムは音声の静的特徴と動的特徴を同時に分析でき,音声認識には有効なパラメータである.今回の音声認識実験では,特定話者が中国語で発声した世界の国名と都市名1000単語を用いた,各単語を5回ずつ発声し,この中の4回分のデータで学習を行い,残りの1回分のデータを認識させたところ,99.0%の認識率が得られ,本方法の有効性が示された.
著者
池野 英利 神山 斉己 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.1047-1054, 1993-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
5

生物神経系は神経細胞の電気・化学的特性によって実現された高度な情報処理機構を備えている.細胞膜を通過するイオン電流は神経細胞の電気的特性を規定することから,神経回路の機能に対しても影響を及ぼす.このことから,イオン電流のモデル記述およびこれに基づく生理工学的解析は,神経系における情報処理機構の解明にとって極めて重要なアプローチの一つである.イオン電流は膜電位固定実験法によって測定でき,その動的,かつ非線形な特性はHodgkin-Huxley型方程式によって一般的に記述される^<(1)>.しかしながら,この方程式に含まれる時間および膜電位に依存した複雑なパラメータを実験データから推定する方法は確立されておらず,このことはモデル記述を得る上で大きな問題であった.本論文では,4種類の膜電位固定実験プロトコルによって測定されたイオン電流に対し,非線形最適化法を用いた系統的パラメータ推定法を提案する.本方法をHodgkin-Huxleyのナトリウム,カリウム電流モデルによって生成した模擬実験データに適用し,イオン電流特性および細胞応答の再構成を通じてその有効性を示した.
著者
岡 隆一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.921-931, 1993-05-25
被引用文献数
9

本論文は文スポッテングに基づく不特定話者を対象とした連続音声認識系を提案する.系は,(1)3連続音素片標準パターンの作成,(2)音素片のネットワークによる文集合の記述,(3)「部分整合法」と「ベクトル連続DP」による文スポッティングの三つの部分からなる.OPEN話者10名が各人11文,計110文(平均単語分岐数は4.1,単語数113のタスク)を発声した文スポッティング認識実験で,文認識率76.4%(文中の単語認識率94.5%)を得ている.この系は3連続音素片標準パターンを492種類のバランス単語セットのみで作り,連続音声による学習を行っていない.系は波形分析から文スポッティング出力まで完全にフレーム同期となっている.
著者
堀田 健一 岩田 彰 松尾 啓志 鈴村 宣夫
出版者
電子情報通信学会情報・システムソサイエティ
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.545-553, 1992-03-25
被引用文献数
37

一般にニューラルネットが大規模になると,結合数が急速に増加し,また学習の収束が困難になるなどさまざまな問題が生じる.これを改善するために我々は,ベクトル量子化ニューラルネットと階層型ニューラルネットを組み合せたCombNETと名づけたネットワークモデルを提案している.しかし,前段のベクトル量子化ニューラルネットにおけるカテゴリーの大分類が均等にならないという問題が生じた.本論文ではこの問題を解決する手法として,自己増殖型ニューラルネットと呼ぶベクトル量子化ニューラルネットを考案し,このネットワークを適用したCombNET- IIを提案する.このネットワークの利点は二つある.まず第1に,前段で各グループに属するカテゴリーがほぼ均等になるように分割されることである.また第2には,分類するカテゴリーの増減にニューロンの数を柔軟に対応させて変化する点にある.今回はこのCombNET-IIをJIS第1,2水準印刷漢字の識別に適用し,前段における大分類の様子,カテゴリー数の変動に対する能力および識別率の検証を行った.