著者
酒井 拓哉 山崎 陽一 神山 斉己
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.Supplement, pp.O-430-O-431, 2014 (Released:2014-10-04)

Many non-invasive assessment techniques of arteriosclerosis have been proposed by assuming the blood vessels as the simple cylindrical tube. The arterial system is more complicated and can be described by a tree structure. However, previous assessment techniques do not take into account the spatial information of the arterial system. In this study, we propose a method in which the physical properties of whole arteries can be estimated from the observable states using Avolio's model. In order to evaluate whether or not the proposed method provides the precise information on the arterial tree, we made a simulation analysis with the simplified arterial model. The objective parameters and the observable state are Young's modulus and pulse wave velocity, respectively. The results showed the proposed method has an ability to estimate the spatial information. It is also suggested that we need a customized optimization technique for the objective information and the observable state.
著者
池野 英利 神山 斉己 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.1047-1054, 1993-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
5

生物神経系は神経細胞の電気・化学的特性によって実現された高度な情報処理機構を備えている.細胞膜を通過するイオン電流は神経細胞の電気的特性を規定することから,神経回路の機能に対しても影響を及ぼす.このことから,イオン電流のモデル記述およびこれに基づく生理工学的解析は,神経系における情報処理機構の解明にとって極めて重要なアプローチの一つである.イオン電流は膜電位固定実験法によって測定でき,その動的,かつ非線形な特性はHodgkin-Huxley型方程式によって一般的に記述される^<(1)>.しかしながら,この方程式に含まれる時間および膜電位に依存した複雑なパラメータを実験データから推定する方法は確立されておらず,このことはモデル記述を得る上で大きな問題であった.本論文では,4種類の膜電位固定実験プロトコルによって測定されたイオン電流に対し,非線形最適化法を用いた系統的パラメータ推定法を提案する.本方法をHodgkin-Huxleyのナトリウム,カリウム電流モデルによって生成した模擬実験データに適用し,イオン電流特性および細胞応答の再構成を通じてその有効性を示した.
著者
山下 輝彦 小濱 剛 神山 斉己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.23-26, 2011-03-08

本研究ではサッカード眼球運動の発生メカニズムを解明することを目的として,前頭眼野から脳幹網様体に至る神経細胞ネットワークの数理モデル化を行った.神経生理学知見に基づけば,サッカード発生の際には,まず前頭眼野でサッカード計画が生成され,黒質網様部を介して中脳の上丘に達し,サッカード命令に変換される.上丘では,視線の移動量と移動速度に関する信号に符号化して出力され,これが脳幹網様体に伝達されて眼筋の収縮をもたらし,サッカードとして表出する.前頭眼野,上丘,および脳幹には,注視時に持続的に活動する注視細胞や,サッカードの準備段階で活動を開始するビルドアップ細胞,サッカードの直前に活動するバースト細胞などが存在することが知られているが,そのネットワークや統制のメカニズムについては,未だ完全には解明されていない.提案モデルは,解剖学的知見に基づいてサッカードに関与する神経系のネットワークを定式化し,サッカード時の各部の神経応答の再現を可能としたものである.シミュレーション実験の結果,エクスプレスサッカード時の神経応答をよく再現することが示され,アンチサッカード時の上丘中間層細胞の応答をも再現が可能であることが示された.このことから,サッカード生成メカニズムの数学的な表現として,ある程度の妥当性を持つことが示唆された.
著者
石井 宏幸 山本 将生 鈴木 聡 神山 斉己 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2370-2378, 1994-12-25
被引用文献数
3

網膜水平細胞間を結合するギャップジャンクションは,視覚情報処理の基本である中心-周辺拮抗型受容野の形成に重要な役割を担っている.従来,こうした水平細胞間のギャップコンダクタンスが非線形特性をもつことや順応状態により動的に変化することが示唆されているが,そうした特性を生理実験によって直接測定することは著しく困難であった.本論文では,筆者らが先に提案したイオン電流モデルを用いた入力電流推定法に特定の信号伝達経路を制御する生理実験技術を適用し,水平細胞の膜電位応答からギャップコンダクタンスの動的変化を推定する手法を提案する.提案手法の有効性は,視細胞-水平細胞ネットワークモデルから求めた水平細胞モデル応答を擬似実験データとして用い,モデルのギャップコンダクタンス値が精度良く推定されることにより確認した.更に,コイ網膜L型水平細胞より記録した膜電位応答に提案手法を適用したところ,従来報告されている知見に近いギャップコンダクタンス値が推定された.