著者
松尾 剛 山口 満 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.719, pp.1-6, 2004-03-09

本稿では,実際に演奏された実楽器音を対象とした,楽器音のスペクトル構造に基づいた楽器推定法を提案する.その原理は,和音の楽器音をくし形フィルタで単音に分離する.そして,このくし形フィルタの特性を考慮して,くし形フィルタの出力スペクトル構造と各楽器音ごとに用意されたテンプレートのスペクトル構造とのマッチングをとることで楽器を推定する.実際の演奏楽器音に対応するため,音の立ち上がり付近(音長の短い音に対応)のスペクトル構造を使用する.また,ある程度の周波数変動にも対応できるように,二重くし形フィルタ(H^d(z) = (1-z^<-N>)^2:零点付近の減衰大)を使用した.さらに,音源分離に使用したくし形フィルタの影響を補正するとき,くし形フィルタの出力スペクトルでなくテンプレートのスペクトルに二重くし形フィルタの利得を乗ずることで,二重くし形フィルタの零点付近の誤差の増大を抑えた.計算機シミュレーションは,ビオラ,バイオリン,ホルン,クラリネット,アルトサックスの5楽器を使用し,音域3-5オクターブの2和音すべての組合せ(重複音は除く)について行なった.その結果,平均推定誤り率10%以下で推定できた.

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