本研究では、男性から女性へ性転換を希望する性同一性障害者(Male to Female transsexuals=MtF)のために音声訓練(ボイス・セラピー)法を確立するために、日本文化圏で女声と判定される基本周波数(F0)の範囲を検討した。その結果80%以上女性と判定されたMtFのF0は180〜214Hzで、平均F0は193Hzとなり、欧米の先行研究より若干値が高くなった。180Hz以下では男声と判定される率が高くなる一方、平均値以上でも「男子の裏声」と判定される場合があり、高さだけでなく声の質も女声と判定されるためには重要であることが示唆された。