著者
寺田 裕樹 水戸部 一孝 吉村 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.296-302, 2004-02-01
参考文献数
14
被引用文献数
6

本研究は,高齢者が歩行時に自主的に事故を防止できる交通環境の設計指針を構築することを最終的な目的としている.高齢歩行者は,接近車両の間隔と接近速度の目測の誤りによる交通事故,つまり視界にあるはずの車両による被害も多い.この現象は加齢による感覚機能の低下により接近車両の速度を誤って認知して起こる可能性がある.そこで,本論文ではその基礎研究として,接近速度感覚に着目し,車両に見立てた光点(以下ターゲット)を実空間に呈示させ,接近速度弁別能力を検査するシステムを間発した.このシステムを用いて接近してくるターゲットの弁別を行わせることでその能力を成人健常者(以下成人)と高齢健常者(以下高齢者)で調べ,性と加齢による比較を行った.その結果,成人は女性よりも男性の方が空間内の位置,奥行情報から接近速度を弁別する能力が優れていた.また,成人に比べ高齢者はその能力の低下が見られたが,統計的な差は認められなかった.これは,高齢者の中には成人やそれ以上に接近速度を弁別できる高齢者もいたことから,個人差が顕著ですべての高齢者に先の知見を当てはめることはできない.

言及状況

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こんな論文どうですか? 接近速度弁別能力の加齢による影響及びその検査システムの開発(ヒューマンコミュニケーション)(寺田 裕樹ほか),2004 http://id.CiNii.jp/N3hjL

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