著者
中島 佐和子 水戸部 一孝 鈴木 雅史 吉村 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.472, pp.25-29, 2012-03-02
参考文献数
8

日常生活を豊かにし文化的な活動を行う上で,映画やテレビの存在は欠かせない.しかし,加速する超高齢社会を背景に様々な身体特性を有する人々(聴覚障害や視覚障害等)が増加する中で,これらの人々の日常生活を豊かにする手段の一つである映像コンテンツを鑑賞できるシステムは充分に整備されているとはいえない.本研究では,聴覚障害者対応の映画字幕の現状課題と可能性を把握するために,聴覚障害者,映画製作者,字幕制作者及び一般鑑賞者を対象としたヒヤリング及びアンケート調査を実施した.その結果,聴覚障害者が必要とする字幕の程度については,セリフ字幕,環境音や効果音を説明する字幕,音楽を説明する字幕のそれぞれにおいて異なる尺度でありことが分かった.また,一般鑑賞者(健聴者)を対象とした調査からは,映画音声の聞き取りにくさなどの観点から,聴覚障害を有しない方々に対しても字幕が役に立つ可能性が示唆された.
著者
菊地 光一 伊藤 惇 吉村 昇
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.80-98, 1985-03

筆者らは寒冷地における風力エネルギーの利用に関心を持ち, ここ数年来, 秋田工業高等専門学校屋上での風況調査および小型風車の試作, 実用運転などを行ってきた。秋田県は夏を除き, 移動性の高, 低気圧群が通過する緯度帯にあり, 冬は特に大陸高気圧の影響を強く受け, 西風が強く雪が多い。また, 日本海側にある本県は他都道府県, 特に太平洋側と比較して概して風が強いので, 筆者らは風力エネルギーの利用を強く念願していた。1982年11月, 風速7m/sで1kWのプロペラ型風力発電装置を設置する機会を得, 現在実用運転中であるが, 次のような項目について得られた成果を報告するとともに, 極地で風力発電を実施する場合の留意事項について述べる。(1)風車の安全性確認のための試験運転, (2)生活的環境への影響, (3)発生エネルギーの屋根雪処理への利用。
著者
鈴木 雅史 吉村 昇
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.21-26, 2000-01-01 (Released:2009-10-30)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1
著者
黒田 奈良美 鶯 春夫 平島 賢一 田野 聡 水田 隼 木村 七恵 森下 照大 松浦 康 吉村 昇世
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P3089, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】 痛みは主観的な知覚であり,注意や環境,心理状態等の因子に加え,痛みに対する耐性や経験,性格等もその要因として考えられ,痛み刺激に対する認識の個人差に影響していることが予想される.そこで今回,健常成人の痛み閾値を評価し,閾値に対する個人差と,性格因子との関連性ついて検討した.【対象及び方法】 対象は本研究を説明し,同意が得られた健常成人36名(性別:男性18名,女性18名,平均年齢:22.8±4.4歳)である.方法は,閉眼・椅子座位にて,痛覚針(重り1~6gまで)を用い,非利き手の内側上顆~橈骨茎状突起を結んだ線上の中点を刺激部位とし,痛覚針を垂直に2度押し当てた.刺激は1gから漸増的に与え,痛いと感じた時点で申告するよう指示し,痛いと感じた重さから1つ前の重さに戻り,再び同様に施行し,痛みを感じた重さが一致した時に最終的な痛み閾値と決定した.再び痛みを感じた重さが異なった場合には上記過程を繰り返し閾値を決定した.性格検査は新版STAIを用いて不安傾向の検査を行い,状態不安尺度と特性不安尺度の得点を求めた.統計処理にはt検定を用い有意水準は5%以下とした.【結果】 痛み閾値は個人差がみられ,最頻値は6g(9名),中央値は5gとなった.男女別に比較すると,男性では最頻値は6g以上(5名),中央値は5.5gとなった.女性では最頻値は6g(5名),中央値は5gとなった.閾値の決定に至るまでの回数は男女とも半数以上が3回以内で決定しているが,13回要した者も存在した.なお,最初に痛みを感じた重さと最終的に異なる重さが閾値となった者は16名であった.性格との関連性については,新版STAIの結果と痛み閾値の5g以下群(20名),6g以上群(16名)の2群に分け,状態不安,特性不安に有意差があるか検討したが,ともに有意差はみられなかった.また初回と最終で痛み閾値に変化のあった群(16名)と変化のみられなかった群(20名)を分け,同様に検討を行ったが,同じく有意差はみられなかった.【考察】 「感覚」が「知覚」へ変化する過程に性格的因子や現在感じている心理的不安が影響するか否かを検討したが,本実験の結果から関連はみられなかった.しかし本実験から,痛み閾値には個人差が大きいことや閾値を決定する際にも検査開始時と終了時で閾値が変化する者がいることから,痛みの知覚は複雑なものであり,注意や記憶・経験,学習等により判断(思考)の変化が生じていることが考えられた.痛みをVAS(Visual analogue scale)やNRS(Numeric rating scale)を用いて評価する際にも,痛みの増減を点数化するということは難解な作業であり,点数変化を即治療効果の判定に用いることに対しては注意が必要と思われた.今後は対象者を拡げるとともに,他の因子の影響も考慮して検討を加えたい.
著者
水戸部 一孝 齊藤 正容 鈴木 雅史 吉村 昇
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.21-28, 2009-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3

As an application of a VR technology for a traffic safety, we developed the walking environment simulator system that combined a motion capture system and treadmill. Using this simulator, the human factor related to elder pedestrian traffic accidents was examined. As a result, traffic accidents of elder people occurred frequently in a far side lane. Most of subjects involved in a traffic accident cut across the narrow space of the distance between two cars in a far side lane. These results show that the decline of the cognitive function of an approach speed will be one of the risk factor of traffic accident.
著者
寺田 裕樹 水戸部 一孝 吉村 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.296-302, 2004-02-01
参考文献数
14
被引用文献数
6

本研究は,高齢者が歩行時に自主的に事故を防止できる交通環境の設計指針を構築することを最終的な目的としている.高齢歩行者は,接近車両の間隔と接近速度の目測の誤りによる交通事故,つまり視界にあるはずの車両による被害も多い.この現象は加齢による感覚機能の低下により接近車両の速度を誤って認知して起こる可能性がある.そこで,本論文ではその基礎研究として,接近速度感覚に着目し,車両に見立てた光点(以下ターゲット)を実空間に呈示させ,接近速度弁別能力を検査するシステムを間発した.このシステムを用いて接近してくるターゲットの弁別を行わせることでその能力を成人健常者(以下成人)と高齢健常者(以下高齢者)で調べ,性と加齢による比較を行った.その結果,成人は女性よりも男性の方が空間内の位置,奥行情報から接近速度を弁別する能力が優れていた.また,成人に比べ高齢者はその能力の低下が見られたが,統計的な差は認められなかった.これは,高齢者の中には成人やそれ以上に接近速度を弁別できる高齢者もいたことから,個人差が顕著ですべての高齢者に先の知見を当てはめることはできない.
著者
吉村 昇 長谷川 誠一 鈴木 雅史
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

有機系絶縁材料は,電気的・機械的特性が優れているため、無機系材料に代わって配電機器材として広く使用されている.しかし有機絶縁材料は,トラッキング劣化やトリ-イング劣化などの有機系材料特有の絶縁劣化と絶縁破壊現象を起こすことが知られている.特にトラッキング劣化は,有機絶縁材料の信頼性と寿命特性を検討する上で非常に重要である.一方で,環境問題として公害の悪化,汚染物質の長距離越境輸送などによる酸性雨問題が注目され,これが屋外で使用される有機絶縁材料に及ぼす影響が懸念されている.本研究では以上の点を考慮し,有機絶縁材料の耐トラッキング性に及ぼす酸性雨の影響,劣化過程を総合的に検討し,その劣化機構を解明することを目的とした.その結果,酸性雨は有機絶縁材料の耐トラッキング性を大きく低下させることを示し,酸性雨が汚染物質としての外的要因で作用する場合と,荷電時の電解液として作用する場合の双方の影響とその劣化過程を明らかにした.また,それぞれのパラメータの経時変化を実験的見地から検討し,それぞれの劣化機構を明らかにした.