- 著者
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田中 正行
奥富 正敏
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, no.11, pp.2200-2209, 2005-11-01
- 被引用文献数
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複数の低解像度画像より一つの高解像度画像を復元する方法として超解像処理がある. 再構成型と分類される方法が広く利用されている. この再構成型超解像処理では, まず初期の高解像度画像を設定し, そこからカメラモデルに基づき観測画像である低解像度画像の各画素値を推定する. 推定された画素値と実際の観測画素値の誤差を最小にするように高解像度画像を更新する. 収束するまで更新処理を繰り返すことにより, 高解像度画像を求める手法が再構成型超解像処理である. 再構成型超解像処理は, 高解像度画像の画素の数だけの未知数があることや, 1回の更新につき複数の低解像度画像の総画素数分の画素値推定計算が必要であることなどから, 計算コストが大きい. 本論文では, 更新ごとに必要な計算コストを低減させることを目的とした高速化アルゴリズムを提案する. 提案手法は, 高解像度画像空間に離散化点とそれに対応する近傍領域を設定し, その近傍領域内に含まれる複数の観測画素値の平均値を利用し, その平均値と離散化点に対する推定画素値の誤差を最小にする方法である. ある近傍領域に対して, 従来法では近傍領域に含まれる観測画素の数の推定計算が必要であるが, 提案手法では1回の推定計算で済む. 合成画像及び実画像を使用した実験から, 提案手法は従来法と比較して約1.4〜8.5倍の高速化が確認できた. また, 推定精度は従来法とほぼ同程度であることも確認できた.