著者
田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.113, pp.97-104, 2004-11-12
参考文献数
15
被引用文献数
4

複数の低解像度画像よりひとつの高解像度画像を推定する方法として超解像処理がある.広く利用されている再構成型超解像処理では,まず初期の高解像度画像を設定し,そこからカメラモデルに基づき観測画像である低解像度画像の各画素値を推定する.推定された画素値と実際の観測画素値の誤差を最小にするように高解像度画像を更新する.収束するまで更新処理を繰り返すことにより,高解像度画像を求める手法が再構成型超解像処理である.再構成型超解像処理は,高解像度画像の画素の数だけの未知数があることや,一回の更新につき複数の低解像度画像の総画素数分の画素値推定計算が必要であることなどから,計算コストが大きいことが知られている.本研究では,更新ごとに必要な計算コストを低減させることを目的とした高速化アルゴリズムを提案する.提案手法は,高解像度画像空間に離散化点とそれに対応する近傍領域を設定し,その近傍領域内に含まれる複数の観測画素値の平均値を利用し,その平均値と離散化点に対する推定画素値の誤差を最小にする方法である.ある近傍領域に対して,従来法では近傍領域に含まれる観測画素の数の推定計算が必要であるが,提案手法では一回の推定計算ですむ. 合成画像および実画像を使用した実験から,実験条件により異なるが,提案手法は従来法と比較して約1.3?5.0倍の高速化が確認できた.また,推定精度は従来法とほぼ同程度であることも確認できた.A super-resolution process produces a high-resolution image from a set of low-resolution images. Reconstruction-based algorithms to produce the high-resolution image which minimizes the difference between observed images and images estimated from the high-resolution image with a camera model has been developed. The reconstruction-based algorithm requires iterative calculation and large calculation cost because the reconstruction-based super-resolution is a large scale problem. In this report, a fast algorithm for the reconstruction-based super-resolution is newly proposed. The proposed method is to reduce the number of observed pixel value estimations from the high-resolution image, using an average of pixel values in a divide region. Effect of our proposed algorithm is demonstrated with synthetic images and actual images. The results show that the proposed method is about 1.3 - 5.0 times faster than a conventional method.
著者
川崎 洋 清水 雅夫 高松 淳 田中 正行 中澤 篤志 延原 章平 古川 亮 労 世紅 八木 康史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.328, pp.145-152, 2008-11-20

IEEE Computer Society主催,Computer Vision and Pattern Recognition会議が,6月22日〜28日,米国アラスカ州アンカレッジにおいて開催された.その概要を参加者9名が分担して報告する.
著者
米司 健一 田中 正行 奥富 正敏
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.38(2005-CVIM-149), pp.47-52, 2005-05-12

画像撮影時の手ぶれや,対象が動くことによって画像にぶれが生じる.このぶれを等速直線運動で近似すると,ぶれを表すPSF(Point Spread Function)は幅と角度の2つのパラメータで表現することができる.劣化画像の振幅スペクトルは,PSFの幅と角度によって決まる方向と周期で0となる性質を持つ.この劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性を検出することによって,PSFパラメータの幅ellと角度thetaを推定する.本論文では原画像の周波数特性によらず,劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性をロバストに検出する手法を提案する.また,実画像実験を通して,提案手法の効果を確認した.
著者
田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.2200-2209, 2005-11-01
被引用文献数
21

複数の低解像度画像より一つの高解像度画像を復元する方法として超解像処理がある. 再構成型と分類される方法が広く利用されている. この再構成型超解像処理では, まず初期の高解像度画像を設定し, そこからカメラモデルに基づき観測画像である低解像度画像の各画素値を推定する. 推定された画素値と実際の観測画素値の誤差を最小にするように高解像度画像を更新する. 収束するまで更新処理を繰り返すことにより, 高解像度画像を求める手法が再構成型超解像処理である. 再構成型超解像処理は, 高解像度画像の画素の数だけの未知数があることや, 1回の更新につき複数の低解像度画像の総画素数分の画素値推定計算が必要であることなどから, 計算コストが大きい. 本論文では, 更新ごとに必要な計算コストを低減させることを目的とした高速化アルゴリズムを提案する. 提案手法は, 高解像度画像空間に離散化点とそれに対応する近傍領域を設定し, その近傍領域内に含まれる複数の観測画素値の平均値を利用し, その平均値と離散化点に対する推定画素値の誤差を最小にする方法である. ある近傍領域に対して, 従来法では近傍領域に含まれる観測画素の数の推定計算が必要であるが, 提案手法では1回の推定計算で済む. 合成画像及び実画像を使用した実験から, 提案手法は従来法と比較して約1.4〜8.5倍の高速化が確認できた. また, 推定精度は従来法とほぼ同程度であることも確認できた.
著者
吉村 真 清水 雅夫 田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.1, pp.169-176, 2007-01-12

時系列画像を用いた画像処理には,安定で高精度な画像レジストレーションを必要とするものが多い.このような画像レジストレーションでは,多くの場合,アフィン変換や射影変換などの,比較的自由度が低いモーションモデルが採用されてきた.しかし,このようなモーションモデルでは正確に表現できないような変形をする撮影対象もある.本論文では,画像上に多数配置した制御点の移動をパラメータとする,B-Spline画像変形を用いた画像間レジストレーション手法を検討する.従来,このような非剛体レジストレーションでは,画像の輝度勾配を用いた勾配法によってモーションパラメータを求めていたが,テクスチャが少なく輝度勾配が小さい領域では勾配法が安定に収束しない問題があった.そこで,輝度勾配に応じて変化する安定化項をコスト関数に導入し,画像によらず高精度でしかも安定にモーションパラメータを推定できるようにした.非剛体変形する対象の例として,望遠レンズで遠方の対象を撮影するときに生じる大気揺らぎ(かげろう)と,水面を通して水中物体を撮影するときに生じる揺らぎを取り上げる.これらの揺らぎは,観測時間を十分に長く取れば平均位置に対して対称になる.そこで,このような揺らぎを含む時系列画像を時間方向に平均化することで,空間的にぼやける代わりに揺らぎを除去できる.この平均化画像に対して各入力画像を非剛体レジストレーションすることで,入力時系列画像から揺らぎを除去することができる.揺らぎを含む実画像を利用した実験を行い,効果を確認した.A stable and highly accurate image registration technique is required for sequential image processing. Affine and projective transforms are often used for motion models of the image registration, but some objects cannot be modeled with the motion models using such a limited number of parameters. In this paper we discuss a non-rigid registration that utilizes a B-Spline image transformation with a parameter-set of the control vertex positions. The parameter-set can be estimated using a gradient-based parameter optimization method. The optimization method is, however, sometimes unstable at texture-less regions with image noise. We have introduced a stabilization term that varies with the magnitude of image gradient to the cost function, which allows estimating a stable and accurate parameter-set even if the image has a weak texture.In the experiments, we have applied the stable non-rigid registration technique to eliminate two types of fluctuations in image sequences; an atmospheric fluctuation and a fluctuation through a watter surface. A deformation-eliminated reference image is obtained by averaging image frames in the sequence, and then each frame is non-rigidly registered to the reference image. The experimental results demonstrate the stability and accuracy of the proposed non-rigid image registration technique.
著者
高塚 皓正 田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.93, pp.73-80, 2006-09-08
被引用文献数
2

顔検出はコンピュータビジョンにおいて,近年注目されている技術の一つであり,様々な研究が行なわれている従来の顔検出に関する研究の多くは,切り取られたサブウィンドウが顔かどうかを判別する識別器を改良することを主な目的としている.この識別器は顔検出を行なう際の?プロセスとして重要であるしかし,これらの識別器は各サプウィンドウに対して,独立に顔または非顔を判定するため,識別器の出力(顔らしさ)の高い非顔画像を誤検出してしまうことがよくある.本報告では,顔と非顔における顔らしさ分布の違いに着目し,この違いを陽に利用した新しい顔検出の枠組みについて提案する.提案手法では,顔らしさ分布を生成し,統合処理により顔と非顔の違いを強調することで,従来手法で誤検出していた非顔を正しく分類することが可能になる.実験では,テストデータセットと実画像を用いて,提案手法の有効性を確認したその結果,それぞれ20%と10%の検出率の向上が見られた.Face detection is a useful technique in computer vision. Many face detectors have been developed in the literature. Almost all approaches for face detection focus on the face detectors which classify a given subwindow into face or non-face. However, in face detection process, since the detectors also evaluate the scanned sub-windows independently, non-faces with high face likelihood are often misdetected. In this paper, we propose a novel face detection algorithm which explicitly uses difference of face likelihood distribution between faces and non-faces. The proposed algorithm can correctly classify the non-faces misdetected by the existing algorithm. The face likelihood distribution is generated and integrated to emphasize the difference between faces and nonfaces. Experiments with pre-scanned data set and real-world images show that the proposed algorithm improves the detection rate approximately by 20% and 10%, respectively.
著者
米司 健一 田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.38, pp.47-52, 2005-05-12
被引用文献数
8

画像撮影時の手ぶれや,対象が動くことによって画像にぶれが生じる.このぶれを等速直線運動で近似すると,ぶれを表すPSF(Point Spread Function)は幅と角度の2つのパラメータで表現することができる.劣化画像の振幅スペクトルは,PSFの幅と角度によって決まる方向と周期で0となる性質を持つ.この劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性を検出することによって,PSFパラメータの幅ellと角度thetaを推定する.本論文では原画像の周波数特性によらず,劣化画像の振幅スペクトルの周期性と方向性をロバストに検出する手法を提案する.また,実画像実験を通して,提案手法の効果を確認した.An image is degraded by hand blurring or moving object. That degradation can be expressed by PSF(Point Spread Function). The PSF has two parameters of width and the angle, approximating the motion is uniform. An amplitude spectrum of blurred image has a feature based on PSF parameters. PSF parameters can estimate from this feature. This paper presents a new method to estimate PSF parameters from the amplitude spectrum of blurred image. The effect of the proposed method is confirmed by experiments.
著者
田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.80-89, 2006-03-15
被引用文献数
4

複数の低解像度画像から,1つの高解像度画像を再構成する方法として超解像処理がある.超解像処理では,高解像度画像の低解像度画像に対する倍率が重要なパラメータとなる.本論文では,倍率の設計を容易にする超解像の条件数定理を示す.条件数定理は,低解像度画像数が無限であると仮定したとき,任意のPSF(Point Spread Function)に関する超解像方程式の条件数の算出方法を導く定理である.条件数定理により算出される条件数を比較することにより,高解像度画像の低解像度画像に対する倍率およびPSFを設計することができる.また,本研究では,ML(Maximum Likelihood)法に関しての勾配制約も示す.勾配制約とは,PSFのパワースペクトルがML法の評価関数の微分を制限するというものである.条件数定理と勾配制限は理論的に導かれる.具体的にBox型PSFとGaussian型PSFの解析を示し,また,合成画像を利用した実験によりその有効性を確認する.This study presents and proves a condition number theorem for super-resolution (SR). The SR condition number theorem provides the condition number for an arbitrary space-invariant point spread function (PSF) when using an infinite number of low resolution images. A gradient restriction is also derived for maximum likelihood (ML) method. The gradient restriction is presented as an inequality which shows that the power spectrum of the PSF suppresses the spatial frequency component of the gradient of ML cost function. A Box PSF and a Gaussian PSF are analyzed with the SR condition number theorem. Effects of the gradient restriction on super-resolution results are shown using synthetic images.
著者
米司 健一 田中 正行 奥富 正敏
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.10, pp.2830-2839, 2007-10-01

画像撮影時の手ぶれや,ピンぼけなどによって画像にぶれやぼけが生じる.これらの劣化はPSF(Point Spread Function)と原画像との畳込み積分によって表現される.PSFが既知の場合,劣化画像とPSFから復元用のフィルタを作成し,そのフィルタを用いて原画像を復元する手法はこれまでに多くの研究例がある.しかし,ほとんどの復元手法では,何らかのパラメータを設定する必要があり,この調節が難しい.そこで,本研究では,パラメータの調節が容易な復元フィルタを提案する.まず,復元フィルタのパラメータが容易に調節できるための具体的条件を明確にした後,復元フィルタを設計するための新しい考え方を提案する.この考え方に従って実際に復元フィルタの設計を行う.また,実験を通して,提案手法の効果を確認した.