著者
馬場 敏幸 玄場 公規
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.71-82, 2003-08-29

本研究は,インドネシアの現地系自動車部品メーカーの獲得した技術水準に着目し,アジアの自動車産業の産業システム高度化進展度を分析することを目的としている。分析にあたっては自動車メーカーとサプライヤー間の取引方式に着目した。先行研究によると「承認図」方式を通じてなされる取引方式では,双方化による学習(Learning-by-Reciprocating)効果が期待され,開発途上国への技術移転速度を速めると提唱されている。しかし,一方で,「承認図」方式による取引には,1)初期開発能力(企画・設計), 2)後期開発能力(工程開発能力,VE), 3)量産能力(品質,納期など),4)改善能力(VAなど)のすべての能力が必要とされている。そのため,本研究では現地系自動車部品メーカーヘの「承認図」方式の普及状況が産業システム高度化進展度の指標になると考え,承認図に関する事例分析を行った。分析の結果,現地系の部品メーカーは自動車メーカーに対して製造技術を提供できる段階に達しているが,その開発能力は発展途上にあり,産業システムとしてはいまだ未成熟であるとの結論を得た。しかし,「承認図メーカー」に近い現地系自動車部品メーカーも存在しており,産業システムが進化しつつあることも確認された。

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