著者
森 陵一 小高 鐵男 内藤 善久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.101-106, 1999-02-25
参考文献数
12

真皮膠原線維の代謝回転が早いためと考えられる皮膚脆弱症をもつ11歳齢ホルスタイン雌ウシ(Cow1)の橈骨骨幹の横断切片を用いて, 形態学的および物理化学的な検索を行った. 巨大なCow1は成長の安定した5-6.5歳齢の正常雌ウシの約1.5倍の体重を示した. その骨試料を正常な12歳齢雌ウシ(Cow2)と比較した. 今まで, 若いウシやある草食恐竜の長骨骨幹は, 付加的に形成される同心円状の葉状骨(laminar bone)からなり, また, このような葉状骨は成長の早い家畜や大型犬の成長期の骨に特徴的に見られると報告されている. Cow1とCow2の骨量はほぼ同じであったが, Cow1はCow2と比べて外層1/2で少数の骨単位しかもたず, 全層ではCow2と1歳齢の去勢雄ウシの中間型を示した. Cow1とCow2の間に, CaとP量, Vickers硬さに有意差は認められなかった. しかし, Cow1の骨の膠原細線維は不均一な直径と乱れた配列を示した. このことから, 既に報告された皮膚脆弱症の真皮と骨の膠原細線維の形成に何らかの相関性のあることが推察された. 葉状骨の残存量からは, 11歳齢のCow1はおそらく最近まで成長しており, その結果として, ある草食恐竜の様に巨大化したと考えられた.

言及状況

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こんな論文どうですか? 皮膚脆弱症をもつ11歳齢巨大ウシの長骨骨幹における骨単位の形成遅延(森 陵一ほか),1999 https://t.co/6I1XyKawtK

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