著者
落合 和彦 森松 正美 冨澤 伸行 首藤 文榮
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1103-1108, 2001-10-10
参考文献数
23
被引用文献数
3 27

小動物臨床の分野において犬の乳腺腫瘍の発症頻度の高さは広く知られるところであり, その詳細な検討が必要とされている.我々は遺伝性乳癌原因遺伝子として知られているBrca2のcDNA, およびBrca2タンパク質と相互作用することが知られているRad51タンパク質のcDNAについて, それぞれの犬ホモログの全長配列をクローニングし, 乳腺腫瘍発症との関わりを検索するための基礎的知見を得ることを目的とした.クローニングしたcDNAは, Brca2が11kb, Rad51が1.5kbで, それぞれ3, 471残基および339残基のアミノ酸をコードすることが推定された.他の動物とアミノ酸配列を比較したところ, Brca2はヒトと68%, マウスと58%の相同性を示した.特にC末端領域の相同性は高く, Rad51結合配列や核移行シグナルと推定されている配列が種をこえて良く保存されていた.また, すでに犬Brca2のゲノム解析により報告されていたexon11との比較から, アミノ酸の置換を伴う多型が存在する可能性が示された.一方, Rad51のアミノ酸配列は, 動物種間の相同性が極めて高かった(ヒトおよびマウスと99%).さらに, 犬のBrca2とRad51の組織分布を調べたところ, 乳腺で両者の発現が見られた.このことはBrca2とRad51が犬でも乳腺でなんらかの相互作用をしている可能性を示すものである.

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こんな論文どうですか? 犬のBrca2およびRad51のcDNA全長のクローニングと塩基配列の解析(落合 和彦ほか),2001 https://t.co/c2mDSQKEm5 小動物臨床の分野において犬の乳腺腫瘍の発症頻度の高さは広く知られるところ…
こんな論文どうですか? 犬のBrca2およびRad51のcDNA全長のクローニングと塩基配列の解析(落合 和彦ほか),2001 https://t.co/c2mDSQKEm5 小動物臨床の分野において犬の乳腺腫瘍の発症頻度の高さは広く知られるところ…

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