著者
岡田 啓司 加崎 弘康 東郷 幸 冨澤 伸行 原 茂雄 金田 義宏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.673-676, 1995-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13

健康なビーグル犬各7頭に, 消風散, 当帰飲子, 小柴胡湯および小青龍湯の漢方方剤1.25g (小青龍湯は1.5g) を朝, 夕2回に分割して連続7日間経口投与したところ, 消風散を除く3方剤により, Compound 48/80に対する皮内反応を指標とした肥満細胞脱顆粒作用は有意に抑制され, 当帰飲子を除く3方剤により, リン酸ヒスタミンに対する皮内反応を指標とした抗ヒスタミン作用は有意に増強された. また, 小青龍湯および小柴胡湯投与開始後7日には, 血中Cortisol濃度が投与開始前に比べて有意に増加した.
著者
落合 和彦 森松 正美 冨澤 伸行 首藤 文榮
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1103-1108, 2001-10-10
参考文献数
23
被引用文献数
3 27

小動物臨床の分野において犬の乳腺腫瘍の発症頻度の高さは広く知られるところであり, その詳細な検討が必要とされている.我々は遺伝性乳癌原因遺伝子として知られているBrca2のcDNA, およびBrca2タンパク質と相互作用することが知られているRad51タンパク質のcDNAについて, それぞれの犬ホモログの全長配列をクローニングし, 乳腺腫瘍発症との関わりを検索するための基礎的知見を得ることを目的とした.クローニングしたcDNAは, Brca2が11kb, Rad51が1.5kbで, それぞれ3, 471残基および339残基のアミノ酸をコードすることが推定された.他の動物とアミノ酸配列を比較したところ, Brca2はヒトと68%, マウスと58%の相同性を示した.特にC末端領域の相同性は高く, Rad51結合配列や核移行シグナルと推定されている配列が種をこえて良く保存されていた.また, すでに犬Brca2のゲノム解析により報告されていたexon11との比較から, アミノ酸の置換を伴う多型が存在する可能性が示された.一方, Rad51のアミノ酸配列は, 動物種間の相同性が極めて高かった(ヒトおよびマウスと99%).さらに, 犬のBrca2とRad51の組織分布を調べたところ, 乳腺で両者の発現が見られた.このことはBrca2とRad51が犬でも乳腺でなんらかの相互作用をしている可能性を示すものである.
著者
吉川 泰永 森松 正美 落合 和彦 永野 昌志 山根 義久 冨澤 伸行 佐々木 伸雄 橋爪 一善
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1013-1017, 2005-10-25
参考文献数
32
被引用文献数
13

乳腺腫瘍はヒトの女性および雌イヌでもっとも発症頻度の高い腫瘍である.BRCA2遺伝子は, DNAの修復に関与する巨大タンパク質をコードしており, ヒトではBRCA2が変異すると腫瘍罹患リスクが上昇する.BRCA2タンパク質はガン抑制タンパク質であり, これがヘテロ接合性の消失(LOH)によって不活化すると乳腺腫瘍が発症すると考えられている.本研究では, イヌBRCA2のLOH解析に適当な多型マーカを確立するために, 腫瘍に罹患したイヌ30例と罹患していないイヌ21例についてエキソン27領域のゲノム配列を解析した.これまでにイヌBRCA2遺伝子座で報告されていた多型は10204ins/delAAAだけだったが, この他に新たに4種類の単一ヌクレオチド多型(SNP)を発見した.これらのあわせて5つの多型を解析した結果, 4つのアリル型が存在することが判明した.今回解析した多型の中で10204ins/delAAAの出現頻度がもっとも高かったため, PCR法を応用してこの多型を判別する方法を確立した.この方法は, イヌのBRCA2においてLOHと腫瘍発症との関係を解析するうえで有用と考えられる.
著者
冨澤 伸行 山手 寛嗣 荻野 朋子 原 茂雄
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.115-118, 2001-02-20

左側肘関節の脱臼に対して整復術を試みたものの, 改善の認められなかったポメラニアン種の雄 (4歳) に対して関節固定術を実施した. 右側肘関節のX線写真において, 肘突起の欠損および鈎状突起の低形成が認められたことから, 本症例の肘関節脱臼の要因が先天性の肘関節異常であることが強く疑われた.