著者
鏡 宣昭 高江洲 義矩
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.31-39, 2000-01-30
被引用文献数
2

学校歯科保健は,児童生徒が歯・口腔の健康に関する知識・習慣・態度への変容を期待して行われる保健活動の1つで,養護教諭は常にその要として「保健教育」と「保健管理」に携わってきた。また,平成7年度に学校保健法の改正が行われ,健康診断票や健診内容は大幅に変わった。これは,従来からの検診を中心とした健康管理から,本来求められていた健康教育を積極的に取り入れるものとして注目されている。そこで,千葉市内の養護教諭171名を対象に,児童生徒への口腔保健教育の進め方や学校健診の評価など10項目について,Delphi法によるアンケート調査を行った。その結果,(1)健診時の器具の消毒についての回答では,公的機関が診査器具を一括管理し必要な時期に必要な量を配送してもらうことを希望するものが1回目は51.8%であったが,2回目以降は71.5,72.8%と回を追うごとに回答率が上昇した。(2)学校現場で行える事後措置としては,「保健だより」などを利用した「家庭との連絡」と回答したものに集中して72.3〜83.1%であった。(3)学校でのフッ化物洗口については,「必要ない」と回答しているものが50.4〜57.8%で,「実施が望ましい」は12.7〜17.7%あった。Delphi法の特徴の1つである収束傾向は,「新しい健診法の全体的評価」,「要観察歯の導入」,「年間の健康診断の回数」,「診査器具の消毒」,「学校保健委員会の活動」および「学校歯科医とかかりつけの歯科医との関係」の設問にみられたが,特に診査器具の消毒についての「業者に依託する」応答に顕著に示された。

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