著者
青柳 肇 細田 一秋
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.33-41, 1994-03-25

前処置とテスト課題の間に同種または異種の課題を挿入した際のテスト課題の成績および帰属の変化,コントロール感の変化,および随伴性の認識について検討する事を目的とした.実験は,3つのセッションからなっている.第1セッションでは,190名の大学生に前処置として50%しか解答できない数的処理課題を行わせた.その後第2セッションでは,被験者を4群に分け別々の課題を与える.LI群は,10個のアナグラムでそのうち半分は解答不能である.LS群は,10個の解答可能なアナグラムを与える.MI群は,10個の数的処理課題で,そのうち半分は解答不能である.MS群は,10個の解答可能な数的処理課題であった.その後第3セッションとして,全群に対してテスト課題として解答可能な数的処理課題10問与える.第1セッションと第2セッション,第2セッションと第3セッションの間に帰属スタイル尺度(ASQ)を実施し,実験終了後に随伴性の認識について聞いた.主な結果は,以下の通りである.(1)挿入課題で数的処理を行った群は,アナグラムを行った群より高得点である.とりわけ,解決可能な数的処理課題は,テスト課題での成績がよい.(2)挿入課題で解決可能なアナグラムを行うと課題全体の成績がよくなる.(3)解決不可能なアナグラム課題を与えられると帰属スタイルは,内的統制得点が低くなる.それ以外は大きな変化はない.(4)解決不可能なアナグラムと数的処理課題が与えられるとコントロール感が減少する.(5)随伴性の認識は,解決可能なアナグラム課題が与えられたとき最も強くなる.これらのことは,学習性無力感解消には,テスト課題と同種の解決可能課題を与えることだけが有効なのではなく,異種の解決可能な課題を与えることも有効であることを示唆するものである.

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こんな論文どうですか? 学習性無力感に関する研究 : その10,先行解決不可能課題と後続解決可能課題の類似性が後続解決可能課題の遂行に及ぼす効果(青柳 肇ほか),1994 https://t.co/IeGJjLDnMh

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