著者
小杉 礼子 堀 有喜衣
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.5-28, 2004-01-31
被引用文献数
1

これまで様々な論者によって研究が進められてきた「フリーター」は,主として「残業のない正社員なみ」に働いている若者が多く含まれていた.こうした若者を本稿では「中核的」なフリーターと位置づけ,「あまり働いていない」者を「周辺的」フリーターとし,さらに「働いていない」者を「無業」として,その現状と問題を明らかにした.政府統計を用いた分析によれば,(1)「周辺的フリーター」はおよそ35万人,無業者はおよそ80万人と推計される(2)90年代後半以降,非在学・非家事の「無業」が増加している,という傾向が見られた.また都道府県別に失業と無業の関係をみたところ,若年男性では雇用情勢の厳しい都道府県で無業化していたが,女性については家事従事者が増加するためはっきりした相関が見られなかった.こうした「周辺的フリーター」の増加に対して,すでに就業支援を行っている機関に対してインタビューを行い,若者に対する認識と,その認識に基づく支援の論理の構築を探った.インタビューによれば,これらの諸機関の活動はそれぞれの範囲では十分機能しているものの,しばしば限定的な支援を正当化する論理へと帰結しているという問題が見出された.今後は,これまで十分に注目されてこなかった「周辺的フリーター」の現状把握と,若者から信頼される支援のさらなる構築が求められる.

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こんな論文どうですか? 若年無業・周辺的フリーター層の現状と問題(<特集>フリーターへの新しい研究視角)(小杉礼子ほか),2004 http://id.CiNii.jp/TbbOL

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