- 著者
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清塚 邦彦
- 出版者
- 山形大学
- 雑誌
- 山形大学人文学部研究年報
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.37-64, 2004-02-25
以下において検討を加えたいのは,ネルソン・グッドマンが『芸術の言語』(第2版,1976年 ― 引用の際にはLAと略記)をはじめとする著作の中で提示した絵画に関する記号論的分析であり,特に,絵による描写・再現の働きについての分析である。グッドマンの記号論については,「例示(exemplification)」の概念に関わる部分については別稿(清塚[1999a])において詳細な検討を行った。今回の論考は,それと対をなすrepresentationの概念を主題とする続編に当たるものである。この主題についてはすでに別稿(清塚[2002])において,やや異なる文脈の中で部分的な形で紹介・検討を加えたことがあるが,本稿の課題は,絵による描写・再現と関わるグッドマンの理論をより完全な形で紹介し,それに対する修正提案の方向を明確化することにある。