- 著者
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小沢 一雅
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, pp.1-8, 2006-07-28
- 参考文献数
- 4
前方後円墳の墳丘主体は,自然地形の整形あるいは盛土といった土木工法によって構築されている。大きな古墳になると30mを超える高さをもつものがある。土砂を素材とする構築物であるため高さを確保すれば必然的に長い斜面が現れる。こうした長い墳丘斜面の崩落を防ぐための土木技法としてか,あるいは装飾的造形としてか,いわゆる段築とよばれる階段状の斜面形成が行われている。主流は3段築成とみられているが,各段の高さの比率等に関して多数の古墳を横断的に分析した事例はない。本稿では,実測図の等高線に段築の痕跡が比較的明瞭に認められる古墳を選別し,各段の高さを詳細に計測する。各古墳について得られた計測値を比較・分析した結果として,一定の法則性が認められることを述べる。さらに,これをふまえて各段の高さの比(段築比)が1:1:3であるとする推定段築比を導く。