著者
小沢 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1-8, 2006-07-28
参考文献数
4

前方後円墳の墳丘主体は,自然地形の整形あるいは盛土といった土木工法によって構築されている。大きな古墳になると30mを超える高さをもつものがある。土砂を素材とする構築物であるため高さを確保すれば必然的に長い斜面が現れる。こうした長い墳丘斜面の崩落を防ぐための土木技法としてか,あるいは装飾的造形としてか,いわゆる段築とよばれる階段状の斜面形成が行われている。主流は3段築成とみられているが,各段の高さの比率等に関して多数の古墳を横断的に分析した事例はない。本稿では,実測図の等高線に段築の痕跡が比較的明瞭に認められる古墳を選別し,各段の高さを詳細に計測する。各古墳について得られた計測値を比較・分析した結果として,一定の法則性が認められることを述べる。さらに,これをふまえて各段の高さの比(段築比)が1:1:3であるとする推定段築比を導く。
著者
仁木 滉 加藤 常員 鎌木 義昌 小沢 一雅 ニキ ヒロシ カトウ ツネカズ カマキ ヨシマ オザワ カズマサ Hiroshi Niki Tunekazu Kato Yoshimasa Kamaki Kazumasa Ozawa
雑誌
岡山理科大学紀要. A, 自然科学
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-15, 1985

This paper presents an associative restoration system that creates the restoed shape of a given distorted ancient pottery in terms of its plane figure (silhouette). The system has been implemented on the VAX11/780 computer system, based on a mathematical modeling of the associatve memory and additional processing techniques. One of the aims is to reduce archaeologists' labor spent in drawing a huge number of plane figures corresponding to finds given by excaticns. In our computer simulation, we use 14 types of silhouttes of the "Sueki", Japanese ancient potteries, as the test figures. The results of the simulation are presented and also are discussed in relation to the system performance and archaeology.
著者
小沢 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.52, pp.1-8, 2002-05-31
被引用文献数
1

数理的分類法(クラスター分析法)において、従前考慮されることが少なかった重複型分類について基本的な考え方を述べる。通常の分類とは、個体の集合の切断的分類とよぶべきものであるのに対して、重複型分類は個体の共有をゆるす分類であって、こうした差異に関わる特質についても論ずる。固体の集合について具体的に重複クラスタリングを実行することを想定して、一手法の骨子となる原理を提案する。簡単な例題集合をとりあげて、重複クラスタリングを試行する。Quantitative taxonomy is discussed in relation to realization over a given set of data items. Almost all of existing cluster schemes have provided non-overlapping partition of a given set of data items. This has sometimes been giving unrealistic views over a real world of data in the humanities. This paper presents an overlapping cluster scheme that would play an important role in realistic understanding of a set of quantified data items. Finally overlapping clustering of an example small set of data items has been carried out using the proposed scheme.
著者
小沢 一雅
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2010-CH-87, no.1, pp.1-6, 2010-07-24

古事記・日本書紀における年代表記の基本は,60 年周期の干支年である.日本書紀は編年体で記述されているため年代の記述に欠損はないが,古事記は多くの天皇の崩御年 (崩年) の干支年が欠落していることもあり,絶対年への換算が唯一にできないという問題がある.とくに,日本古代におけるキーパーソンである崇神天皇の崩年を,古事記は戊寅年としているが,これを絶対年に換算するに際して,主として 318 年説と 258 年説の 2 つの説がある.本稿では,両説ともに大きな矛盾をはらんでいることを明らかにする.
著者
加藤常員 小林 博昭 小沢 一雅 今枝 国之助
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.418-428, 1988-04-15
被引用文献数
2

考古学へのコンピュータ・サイエンスの応用 とくに文化とその伝播に関するモデル化および計算機シミュレーションについて述べる.ある特定の文化に帰属する遺跡の集まりを取り上げ 遺跡間の文化の伝播のネットワークを求めるモデルを提案する伝播は 遺跡間の係わり合い(交流)が基本であり その大きな要因と考えられる空間的距離に着目する.距離についての伝播負担関数および伝播係数を導入する.伝播係数の特性である中継効果を明らかにする.中継効果を使い遺跡相互の伝播路のネットワークを求める.このネットワークを伝播路網と名付ける具体例として 後期旧石器時代・国府型ナイフ形石器文化の56か所の遺跡を対象にシミュレーションを行った結果を示す.また 弥生時代中期・畿内の拠点集落遺跡理か所について 考古学的手法による結果と比較・検討を行う.
著者
小沢一雅
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.1984, no.2(1984-ICS-034), pp.1-8, 1984-05-08

A research support system complex REDATO is implemented for handling a variety of problems related to the Japanese ancient tombs. REDATO consists of the three systems SIS (Symbolic Information System) GIS (Geographical Information System) and PIS (Pictorial Ingormation System) which deal with the databases SID GID and PID respectively. SIS is nothing but the so-called DBMS which manages the relational database SID. GIS performs interactive graphic processing for the geographical aspect of the tombs distributed all over the Japanese islands. GIS acts in cooperation with SIS providing various archaeological distribution maps of the tombs in specified regions. PIS handles pictorial informations of shapes of the tomb mounds in terms of the contour maps. Logical zooming pictorial query and the other interactive graphics are also performed by PIS.
著者
小沢 一雅
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

昨今,邪馬台国時代に前方後円墳が築かれはじめたとする見解がマスコミを主流として喧伝されている。本研究は,こうした動きを支えている感覚的な理解のあり方の妥当性を数理的な分析によって検証する。まず,畿内を中心として各地に遺存する最古級前方後円墳(古墳時代草創期を画する)の全体から導かれる特性値を抽出する。一方,邪馬台国が記述されている魏志倭人伝の30ヶ国の人口から導かれる分布特性(べき乗則の特性)を抽出する。この2つの特性値を基礎にした比較分析,およびシミュレーション研究を通じて標記の見解に妥当性がないことが示唆される結果を得た。
著者
小沢 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.107, pp.17-24, 2003-10-24
被引用文献数
1 3

絵画は、それを鑑賞する人 ?観察者? に3次元世界を想起させる。これを仮想3次元世界とよぶことにする。本論文は、絵画とそれが惹起する仮想3次元世界をめぐる認知連関モデルを導入し、絵画における遠近法表現の意味を考察する。認知連関モデルで重要な役割を果たすのは、仮想3次元世界を正確な遠近法表現にもとづいて射影した仮想写真(=仮想カメラによる撮影像)である。仮想写真を軸としながら仮想3次元世界と実世界との関係などについて認知連関モデルにもとづいた考察を行う。また、絵画の実例(浮世絵の風景画)をとりあげ、本モデルの観点から遠近法表現について考察を加える。A painting is associated with a virtual 3-dimensional world, termed V3D-world. In this paper, a cognitive correlation model involving a painting and its corresponding V3D-world is introduced for consideration on perspective drawing. In our model, the virtual photographic image plays a key role in understanding of perspective drawing, relation between V3D-World and real world, or artistic impression given by a painting. Taking an Ukiyoe landscape for example, it is discussed whether our correlation model can offer good understanding of problems in perception or cognition of paintings.
著者
加藤常員 小沢 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.1950-1959, 1996-11-15
被引用文献数
3

分類操作は 大きく階層的分類と非階層的分類に分けられ それぞれに多くの手法(クラスタリング手法)が提案されている. 本論文では 多値の遺伝子表現を採用した遺伝的アルゴリズムに基づく非階層的クラスタリング手法を提案する. 一般にクラスタリング手法は クラスタの評価基準および分類の具体的な手順を定めるものである. 非階層的クラスタリング手法では データを k 個のクラスタに分割する際 分割数 k は与えられるか 手法の一部として決定される. 非階層的クラスタリング手法の主たる戦略として まず仮のクラスタ分割を与え 評価基準がよりましな分割に逐次改良していく方法(分割最適化法)がある. この方法では 初期の分割あるいはクラスタの核といった初期条件が最終の分割結果に根本的な影響を及ぼし ときとして局所最適解(分割)に陥る場合も多い. 一方 遺伝的アルゴリズムは 局所最適解を回避することができる多点探索の特長を持っている. 本研究は 遺伝的アルゴリズムの多点探索能力をいかし ロバストな非階層的クラスタリングの実現をめざすものである. 提案する手法は 優性遺伝をモデルとした新たな遺伝的アルゴリズムによって構成されている. 本手法の特性を確認するため 分割最適化法の代表的な手法である k-means 法に基づく比較実験を行った. 実験では 2変量データ(点配置パターン)を用い 評価基準は平方和分解の原理に基づくクラスタ内平方和の総和を採用した. 実験結果として 在来の手法では数%しか最適な分割を得ることができない対象に対して 本稿で提案する手法によれば 80%に近い割合で最適な分割が得られることを確認した.This paper treats a clustering procedure by using the genetic algorithm. As is well-known, existing clustering procedures are classified into two types; i.e., hierarchical and non-hierarchical types. In this paper, a non-hierarchical clustering procedure based on the genetic algorithm has been presented. We call it GA procedure. Our GA procedure can be characterized by its strong power of the multi-point search. From this, the probability to obtain the optimum solution can be made higher than existing procedures. In our experiment, the GA procedure and a typical existing procedure for the so-called k-means method have been compared in terms of probability to obtain the optimum solution and other related aspects. For three kinds of experimental point patterns, the GA procedure had shown its robustness in searching the optimum solution.