著者
小沢 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1-8, 2006-07-28
参考文献数
4

前方後円墳の墳丘主体は,自然地形の整形あるいは盛土といった土木工法によって構築されている。大きな古墳になると30mを超える高さをもつものがある。土砂を素材とする構築物であるため高さを確保すれば必然的に長い斜面が現れる。こうした長い墳丘斜面の崩落を防ぐための土木技法としてか,あるいは装飾的造形としてか,いわゆる段築とよばれる階段状の斜面形成が行われている。主流は3段築成とみられているが,各段の高さの比率等に関して多数の古墳を横断的に分析した事例はない。本稿では,実測図の等高線に段築の痕跡が比較的明瞭に認められる古墳を選別し,各段の高さを詳細に計測する。各古墳について得られた計測値を比較・分析した結果として,一定の法則性が認められることを述べる。さらに,これをふまえて各段の高さの比(段築比)が1:1:3であるとする推定段築比を導く。
著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.7-14, 2006-10-27
参考文献数
6

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつである。これは踊り手個人が任意でする動作であり、「振付け」の範疇として習うものではないとされている。従って習得していく過程において振付けと同レベルで教えられるものではなく、ザイを切るタイミングは大体決まってはいるが、決められたタイミングで全員でしなければならないという決まりもない。あくまで踊りの型がからだに入った者が、それからさらに踊りを高度な次元で表現する術としての、「わざ」の領域の動作なのである。本稿では、「基本」と「わざ」の間にある関係性について、舞踊人類学的な調査に基づく質的分析と情報学的な動作計測に基づく量的な分析の両面からの考察を行う。
著者
久保 正敏
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.49-57, 1995-01-27
参考文献数
3
被引用文献数
2

1965年から1989年までの間に発表されたニューミュージク系の曲300余を対象に、歌詞をデータ入力するとともに、歌詞から曲を分類する項目を設定し、それに基づいた値のデータベースを作成した。その概略的な分析結果を報告する。25年間を5年毎の5つの期間に区切って、分類項目値の変化を見ると、以下のようないくつかの特徴を指摘できる。●1960年代には見られた「若者モノ」は1975年以降減少している。●代わって「恋愛モノ」が台頭し、最近では9割近くを占める。●これに呼応して、歌詞に友人や肉親など恋愛対象以外の人物が登場する曲は急減する。●歌詞の時間的方向性を見ると、第1期は未来指向、第2、3、4期は過去指向、第5期は再び未来指向が優勢となる。こうした変化と、経済・社会的変化、世相・風俗、ミュージシャンの世代や相互の影響、海外の洋楽からの影響、と言った諸現象との相関についての詳しい分析は、今後の課題としたい。
著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.47-54, 2006-07-28
参考文献数
5
被引用文献数
2

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつであるが、垂直上下運動を基本とする剣舞の中にあって、水平方向の動きであるザイは、基本に相反する動きであると思われる。なぜなら、ザイをすれば、基本である垂直上下運動の軸がぶれ、基本を逸脱してしまうおそれがあるからである。ゆえに、「初心者は基本に徹しザイはするな」と指導される。また、保存会の踊り手以外は、たとえ経験年数が長い踊り手であったとしても、ザイができていない踊り手は多い。要約すれば、ザイは熟練者にのみ許された舞踊動作ということができる。それでは、なぜ、基本動作に相反すると考えられるこのザイの動作を剣舞の中で行うのか、また、なぜ、ザイを習得することが困難であるのか。本稿では、この2点について、モーションキャプチャによる定量化と舞踊の指導言語を通して分析し、ザイの動作特性について明らかにする。
著者
安岡 孝一 安岡 素子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-6, 1997-11-15

日本の地名には、あまり他に用例がないような漢字あるいは「国字」とよばれるような漢字がしばしば見られる。このような漢字は、しばしば漢和辞典等には収録されておらず、漢字研究の枠から洩れているのが現状である。本稿では、このような「地名にのみ使用される漢字」にスポットをあてるべく、「ぽすたるガイド'97」において使用頻度が非常に低い漢字の調査をおこない、それらのうち辞書に含まれていない漢字全ての地名用例を示している。