著者
木嶋 恭一
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.51-65, 2002
被引用文献数
1

本稿の目的は,「複雑で不確実性に満ちた」意思決定状況(問題)を構造化するための方法論として提案されたソフトシステムアプローチについて多角的に検討することである。まず,ソフトシステムアプローチの基本的な考え方をその提案の背景となったハードシステムアプローチと比較しながら説明する。ついで,その中でもっとも広く知られている方法論であるソフトシステム方法論(SSM)について詳しく説明する。この方法論は,様々な価値観が存在する状況でディベートなどによって関与者間に「結局何が問題なのか」に関して相互理解と学習をもたらすプロセスを支援する方法論として特にマネジメントの分野で広く知られている。最後に,方法論自身を取り扱う方法論(meta-methodology)の立場から,ソフトシステムアプローチを位置づけてみる。あわせて,様々なシステムアプローチを組み合わせて現実の問題に対処しようとするマルチメソドロジー(multi-methodology)の考え方にも言及する。

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