著者
木嶋 恭一
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.51-65, 2002
被引用文献数
1

本稿の目的は,「複雑で不確実性に満ちた」意思決定状況(問題)を構造化するための方法論として提案されたソフトシステムアプローチについて多角的に検討することである。まず,ソフトシステムアプローチの基本的な考え方をその提案の背景となったハードシステムアプローチと比較しながら説明する。ついで,その中でもっとも広く知られている方法論であるソフトシステム方法論(SSM)について詳しく説明する。この方法論は,様々な価値観が存在する状況でディベートなどによって関与者間に「結局何が問題なのか」に関して相互理解と学習をもたらすプロセスを支援する方法論として特にマネジメントの分野で広く知られている。最後に,方法論自身を取り扱う方法論(meta-methodology)の立場から,ソフトシステムアプローチを位置づけてみる。あわせて,様々なシステムアプローチを組み合わせて現実の問題に対処しようとするマルチメソドロジー(multi-methodology)の考え方にも言及する。
著者
荒井 祐介 木嶋 恭一 出口 弘
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-13, 2012-09-15 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
10

今日の地域開発政策は、各地域の地域資源を活用した自律的活性化を基本とする。地方都市は、地域外から工場等を誘致する外来型開発だけでなく、多様なステークホルダーを関与させつつ、地域資源を活用した地域経済活性化による内発的発展を目指すことも強く求められている。こうした地域資源を活用した地域の自律的活性化という課題は、P2Mのプログラムとして理解できる。本報告では、地域資源を活用した地域の自律的活性化事業を、プログラムマネジメントの一方の柱であるコミュニティマネジメントの面から検討し、「価値協奏プラットフォーム戦略」を提案する。そして価値協奏プラットフォーム戦略を適用した地域活性化のコミュニティマネジメントの事例も紹介する。
著者
近藤 勇人 木嶋 恭一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.37, 2002

本研究の目的は、アメリカンフットボールにおける攻撃力を評価する指標を提案することである。現在その攻撃力の評価には、QBレイティング・獲得ヤード・キャッチ数・タッチダウン数など様々な指標があげられる。ところがそれぞれの指標は選手個人の能力を測るものであったり、ディフェンスの強さに依存するものであったりして、厳密にオフェンスチームの能力を示すものであるとは言えない。そこで本研究では、まず、確率過程であるマルコフ連鎖を用いてアメリカンフットボールを表す。それにより、チームごとにプレーの全体数は異なるものの、その導かれた確率から、ある一定回数のプレーでどのような攻撃をすることができるのかという能力を表現できるので、ディフェンスに依存しない攻撃力を指標(Index of Offensive Ability)として導出する。さらに、この指数を実際の試合結果に適用して、その有効性を示す。
著者
沢田 大樹 木嶋 恭一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2003年度秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2003 (Released:2004-05-11)

片方のプレイヤーが相手の主観について誤認識しているような2人ゲーム、特に、この誤認識を解消することがいずれのプレイヤーにとっても利得の増加に繋がるようなゲームにおいて、誤認識解消のために仲裁行為が果たす役割について、ハイパーゲーム理論を用いて分析する。そのような典型的な状況を考え、そこでは、仲裁者を用いずプレイヤー同士が直接に情報交換を行う形式のプレコミュニケーションによって誤認識を解消することは不可能であるが、仲裁者を介して間接的に情報交換を行う形式のプレコミュニケーションによって誤認識を解消することは可能であることを示し、その意味について考察する。
著者
中條 尚子 木嶋 恭一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.14, 2006

本研究では、実在のネットショップビジネスの事例研究を行い、ネットショップビジネスの発展のメカニズムをエージェントベースの視点から定性的に分析し、そのビジネスの発展と顧客との関係を検討する。事例のネットショップのビジネスでは、その顧客をエージェントとして捉えた。その事例では、優良顧客がネットショップの商品に価値を付加する活動を自律的に行い、インターネットのWebページから情報発信をしている。優良顧客を中心とするエージェントの自律的活動は結果的に、新規顧客の発掘とネットショップのビジネス発展に結びついている。本研究では、このメカニズムの分析と他のネットショップへの適用可能性も議論する。
著者
石野 泰輝 木嶋 恭一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2002年度春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.1, 2002 (Released:2003-09-19)

本稿の目的は、伝統的なマネジメント手法であるPDCA (Plan, Do, Check, Act) サイクルより効果的に問題状況変革を支援する手法を経営コンサルティングの領域において提案することである。PDCAサイクルは, 問題状況の定義を所与とするハード思考の手法であるため、問題状況の設定を十分に扱えない。ここで, ソフトシステムズ方法論を踏まえたPMDA (Picture, Model, Debate, Act) サイクルを提案する。このPMDAサイクルは, 問題状況の改善に有効な点で、ナレッジマネジメントの知識変換プロセスに実践的含意を与える。
著者
冨山 陽平 木嶋 恭一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2002年度秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.83, 2002 (Released:2003-01-17)

本研究の目的は,集団内で生成される派閥や提携などのアライアンス構造の安定性を測る尺度を提案することである.その基本にランドスケープ理論がある. これは,形成過程をエージェントベース・シミュレーションによって,各エージェントのもつ他者との親密度を考慮しながら記述しようとする.このとき,自分と同じアライアンスに入るエージェントに対する不満は0と仮定している. それに対して本研究では,アライアンスの維持という長期的視点にたち,同じアライアンスに属するエージェントに対する不満を無視できないものと捉え,この不満が全体的に低いほど構造が安定していると考える.この仮定の下で,親密度から不満度という新たな概念を導出し,これからアライアンス構造の安定性を測る尺度を提案する.
著者
猪原 健弘 木嶋 恭一 出口 弘 今田 高俊 桑子 敏雄 蟹江 憲史 金子 宏直 中丸 麻由子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、人文学、社会科学、理学、工学を横断するアプローチにより、参加型合意形成メカニズムについての理論・方法・実践に関する知識体系を整備した。特に、(1)合理的な主体の集団の中に協力が生まれるメカニズムを、コンピュータ・シミュレーションを用いて解明した。(2)合意と合意形成が満足するさまざまな性質、特に、合意の達成のされやすさや、合意の崩れにくさについての理論的成果を集約し、可視化した。(3)合意形成の支援のモデルを構築した。という3点が研究成果として得られた。