著者
矢原 徹一
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.111-119, 2007
参考文献数
54
被引用文献数
6

進化生態学は、まず表現型モデルによる研究によって大きく発展し、その後に、量的遺伝学のアプローチや、系統樹を用いた種間比較統計学を取り入れて、発展してきた。エコゲノミクスの成果は、これら3つの方法論の前提に疑問を投げかけている。多くの表現型モデルは制約条件としてトレードオフを仮定している。この仮定に関しては、量的遺伝学のモデルを用いた研究からすでに反証が蓄積されてきた。これに加えて、QTLマッピングにもとづくエコゲノミクス研究はトレードオフ構造が進化の過程で短期間に変わることを示した。この結果は、量的遺伝学のモデルが仮定している、Gマトリクスの安定性に対する反証でもある。また、個々のQTLの表現型効果が一様ではないことがわかり、種間比較統計学が利用している形質復元法の前提も揺らぎつつある。いまや、進化生態学は、表現型の遺伝的背景という「ブラックボックス」の中を見ることを要求されている。

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@lambtani____  この論文(Yaharaさん著:注PDFリンク https://t.co/zAsUzKpwZ9 )の最後に「付記トレードオフとは何か」という項がある。すぐ思い当たる文献がないけど、もっと詳細なものも探せばたくさんあると思う。
@lambtani____  この論文(Yaharaさん著:注PDFリンク https://t.co/zAsUzKpwZ9 )の最後に「付記トレードオフとは何か」という項がある。すぐ思い当たる文献がないけど、もっと詳細なものも探せばたくさんあると思う。

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