- 著者
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深田 三徳
- 出版者
- 同志社大学
- 雑誌
- 同志社法學 (ISSN:03877612)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.7, pp.2369-2411, 2007-03
本稿は、近年、司法制度改革などとの関連で学問的関心を集めている法の支配について、法哲学の視角から考察しようとするものである。「人の支配」「力の支配」と対比される「法の支配」は多義的であるが、まず英米独仏における近代憲法上の法の支配(ないし法治国家)の歴史的展開について概観している。その後、その影響を受けている日本国憲法上の法の支配とそれをめぐる議論について検討している。そして善き統治・政府のあり方、善き法(システム)のあり方に関係する政治理念(ないし法理念)としての法の支配に照準を合わせ、それを形式的考え方と実質的考え方に区分している。その後で、とくに法の支配の形式的考え方に関連して、L.L.フラー、J.ラズ、R.S.サマーズの見解を比較しながら検討している。