著者
松田 裕之
出版者
甲子園大学
雑誌
甲子園大学紀要 (ISSN:18815731)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.123-155, 2007-03-31
被引用文献数
1

南北戦争を戦史のなかに定置すれば、近代的な総力戦の先駆と捉えうるが、じつはこの側面を象徴する出来事として、当時の先端テクノロジーたる電信の本格的な軍事使用をクローズアップできる。国家の再統一を大義に掲げる北部連邦=USAにとって、広範に展開した大規摸な軍隊と、それに対応する長い兵站補給線を維持すべく、効率的な通信体制の整備は必要不可欠となる。行政府と各方面軍、軍同士、軍司令部と麾下の諸部隊、部隊同士のあいだに情報を短時間で廻らせたのが、戦場に派遣された連邦陸軍電信隊(USMTCs)。飛び交う銃弾と炸裂する砲弾のなかで、隊員たちは電線を架設・保守・修復し、モールス電信機を操作して暗号通信文を迅速に送受する。争乱によって授けられたその寿命わずかに5年、アメリカ史の分水嶺に流星の如き光芒を映じて消えたUSMTCs-裏方ともいうべき存在をあえて歴史の表舞台に立たせるのは、情報通信テクノロジーが戦争という禁断領域に使用された「事始め」をあきらかにするためだけではない。USMTCsという存在自体が後世に対して発する問いかけにもよる。すなわち、「一朝有事に際して、誰のために誰の血が流れるのか?」という……。

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@bys06412 @nisemugaku 機関銃は本来的重たいですからね。だから歩兵に追随できる"軽"機関銃が独自のカテゴライズとして成立したわけですし。 車両に載せるという発想は、自動車以前に馬車の時代でも同じだったわけですね。南北戦争では最前線で活動する電信馬車部隊もありました。 https://t.co/SoKJJlbQNA
@bys06412 @nisemugaku 南北戦争は鉄道と電信の戦争https://t.co/ACW9rSScnE でもありました。南北戦争のテクノロジーは20世紀の戦争を先取りしていますね。
南北戦争における軍用電信網の役割 : 連邦陸軍電信隊始末/松田裕之 https://t.co/QPKYr1dBKb この論文PDFで全文読める!松田裕之氏はアメリカの電信士が得意なテーマだ。
http://t.co/WHXzgJFH35 南北戦争における軍用電信網の役割 : 連邦陸軍電信隊始末 http://t.co/0cGLSzuUMj イタリア軍の成立と徴兵忌避現象
こんな論文どうですか? 南北戦争における軍用電信網の役割 : 連邦陸軍電信隊始末(松田 裕之),2007 http://id.CiNii.jp/a2VpL
この頃から既に情報戦の萌芽が有ったのねえ。 南北戦争における軍用電信網の役割:http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405447
あと今読んでる論文がこれ エピソード満載で読み物としても面白いのでオススメなんよ 「南北戦争における軍用電信網の役割 : 連邦陸軍電信隊始末」 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405447

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編集者: ネコバット
2012-07-21 20:29:28 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

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