著者
松田 裕之 矢原 徹一 竹門 康弘 波田 善夫 長谷川 眞理子 日鷹 一雅 ホーテス シュテファン 角野 康郎 鎌田 麿人 神田 房行 加藤 真 國井 秀伸 向井 宏 村上 興正 中越 信和 中村 太士 中根 周歩 西廣 美穂 西廣 淳 佐藤 利幸 嶋田 正和 塩坂 比奈子 高村 典子 田村 典子 立川 賢一 椿 宜高 津田 智 鷲谷 いづみ
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-75, 2005-06-30 (Released:2018-02-09)
被引用文献数
22

【自然再生事業の対象】自然再生事業にあたっては, 可能な限り, 生態系を構成する以下のすべての要素を対象にすべきである. 1生物種と生育, 生息場所 2群集構造と種間関係 3生態系の機能 4生態系の繋がり 5人と自然との持続的なかかわり 【基本認識の明確化】自然再生事業を計画するにあたっては, 具体的な事業に着手する前に, 以下の項目についてよく検討し, 基本認識を共有すべきである. 6生物相と生態系の現状を科学的に把握し, 事業の必要性を検討する 7放置したときの将来を予測し, 事業の根拠を吟味する 8時間的, 空間的な広がりや風土を考慮して, 保全, 再生すべき生態系の姿を明らかにする 9自然の遷移をどの程度止めるべきかを検討する 【自然再生事業を進めるうえでの原則】自然再生事業を進めるうえでは, 以下の諸原則を遵守すべきである. 10地域の生物を保全する(地域性保全の原則) 11種の多様性を保全する(種多様性保全の原則) 12種の遺伝的変異性の保全に十分に配慮する(変異性保全の原則) 13自然の回復力を活かし, 人為的改変は必要最小限にとどめる(回復力活用の原則) 14事業に関わる多分野の研究者が協働する(諸分野協働の原則) 15伝統的な技術や文化を尊重する(伝統尊重の原則) 16目標の実現可能性を重視する(実現可能性の原則) 【順応的管理の指針】自然再生事業においては, 不確実性に対処するため, 以下の順応的管理などの手法を活用すべきである. 17事業の透明性を確保し, 第3者による評価を行う 18不可逆的な影響に備えて予防原則を用いる 19将来成否が評価できる具体的な目標を定める 20将来予測の不確実性の程度を示す 21管理計画に用いた仮説をモニタリングで検証し, 状態変化に応じて方策を変える 22用いた仮説の誤りが判明した場合, 中止を含めて速やかに是正する 【合意形成と連携の指針】自然再生事業は, 以下のような手続きと体制によって進めるべきである. 23科学者が適切な役割を果たす 24自然再生事業を担う次世代を育てる 25地域の多様な主体の間で相互に信頼関係を築き, 合意をはかる 26より広範な環境を守る取り組みとの連携をはかる
著者
松田 裕之
出版者
甲子園大学
雑誌
甲子園大学紀要 (ISSN:18815731)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.123-155, 2007-03-31
被引用文献数
1

南北戦争を戦史のなかに定置すれば、近代的な総力戦の先駆と捉えうるが、じつはこの側面を象徴する出来事として、当時の先端テクノロジーたる電信の本格的な軍事使用をクローズアップできる。国家の再統一を大義に掲げる北部連邦=USAにとって、広範に展開した大規摸な軍隊と、それに対応する長い兵站補給線を維持すべく、効率的な通信体制の整備は必要不可欠となる。行政府と各方面軍、軍同士、軍司令部と麾下の諸部隊、部隊同士のあいだに情報を短時間で廻らせたのが、戦場に派遣された連邦陸軍電信隊(USMTCs)。飛び交う銃弾と炸裂する砲弾のなかで、隊員たちは電線を架設・保守・修復し、モールス電信機を操作して暗号通信文を迅速に送受する。争乱によって授けられたその寿命わずかに5年、アメリカ史の分水嶺に流星の如き光芒を映じて消えたUSMTCs-裏方ともいうべき存在をあえて歴史の表舞台に立たせるのは、情報通信テクノロジーが戦争という禁断領域に使用された「事始め」をあきらかにするためだけではない。USMTCsという存在自体が後世に対して発する問いかけにもよる。すなわち、「一朝有事に際して、誰のために誰の血が流れるのか?」という……。
著者
生態系管理専門委員会 調査提言部会 西田 貴明 岩崎 雄一 大澤 隆文 小笠原 奨悟 鎌田 磨人 佐々木 章晴 高川 晋一 高村 典子 中村 太士 中静 透 西廣 淳 古田 尚也 松田 裕之 吉田 丈人
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2211, (Released:2023-04-30)
参考文献数
93

近年、日本では、急速な人口減少が進む中、自然災害の頻発化、地域経済の停滞、新型コロナウィルス感染症の流行等、様々な社会課題が顕在化している。一方で、SDGs や生物多様性保全に対する社会的関心が高まり、企業経営や事業活動と自然資本の関わりに注目が集まっている。このような状況を受けて、グリーンインフラ、NbS(自然を活用した解決策)、Eco-DRR(生態系を活用した防災減災)、EbA(生態系を活用した気候変動適応)、地域循環共生圏等、自然の資源や機能を活用した社会課題解決に関する概念が幅広い行政計画において取り上げられている。本稿では、日本生態学会の生態系管理専門委員会の委員によりグリーンインフラ・NbS に関する国内外の動向や、これらの考え方を整理するとともに、自然の資源や機能を持続的・効果的に活用するためのポイントを生態学的な観点から議論した。さらに、地域計画や事業の立案・実施に関わる実務家や研究者に向けた「グリーンインフラ・NbS の推進において留意すべき 12 箇条」を提案した。基本原則:1)多様性と冗長性を重視しよう、2)地域性と歴史性を重視しよう。生態系の特性に関する留意点:3)生態系の空間スケールを踏まえよう、4)生態系の変化と動態を踏まえよう、5)生態系の連結性を踏まえよう、6)生態系の機能を踏まえよう、7)生態系サービスの連関を踏まえよう、8)生態系の不確実性を踏まえよう。管理や社会経済との関係に関する留意点:9)ガバナンスのあり方に留意しよう、10)地域経済・社会への波及に留意しよう、11)国際的な目標・関連計画との関係に留意しよう、12)教育・普及に留意しよう。
著者
中嶋 美冬 松田 裕之 堀 道雄
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.755, 2005 (Released:2005-03-17)

魚類の左右性とは、体の前後軸を中心線とする右体側と左体側とで、一方が他方より構造的・機能的に優位にある種内二型を指す(「生態学事典」より)。特に下顎の非対称性が顕著であり、顎が右に開き体が左に曲がる個体を「左利き」、その逆の個体を「右利き」と呼ぶ。この種内二型は遺伝形質であり、1遺伝子座2対立遺伝子に支配される左利き優性のメンデル遺伝と考えられている。この魚の左右性は、形質値のヒストグラムが双山分布をする分断性非対称(Antisymmetry)の一例と考えられる。各種内の利き比率は数年周期で振動している。魚食魚では自分と反対の利きの餌個体を主に捕食することが明らかにされており、本研究ではこれを交差捕食(Cross Predation)と呼ぶ。反対に、同じ利き間での捕食を並行捕食(Parallel predation)と呼ぶ。このような捕食の非対称性が魚類の左利きと右利きの共存を維持する要因と考えられる。その理由は以下のような頻度依存淘汰により説明できる。餌種に左利きが多かったとき、それを捕食する種では右利きが有利となり多数派になるため、やがて餌種では左利きが減少して右利きが増え、捕食者ではかつて少数派であった左利きが有利となって後に多数派となるように、被食者と捕食者において多数派の利きの入れ替わりが繰り返されると予想される。本研究では、交差捕食が起こる仕組みを捕食行動から考察し、また数理モデルを用いて上記の仮説を検証した。
著者
島田 泰夫 松田 裕之
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.126-142, 2007-11-30
参考文献数
32
被引用文献数
1

風力発電事業を進める上で、鳥衝突(バードストライク)問題の解決が求められる。本稿では、順応的管理を取り入れた鳥衝突リスク管理モデル(AMUSE:Adaptive Management model for Uncertain Strike Estimate of birds)を提案する。このモデルは、個体群サイズと衝突数をモニタリングし、結果に応じて風力発電の稼動率を調整して衝突率を低減し、保護増殖施策を導入して個体群の成長率を増加させ、個体群の管理を目指すものである。オジロワシは、2004年2月〜2007年1月の間に7個体の衝突死が報告されており、本種を対象とし個体群パラメタを定めた。あらかじめ自然条件下での個体群計算を行い、エンドポイントを定めておく。その後、2通りの成長率シナリオと管理シナリオを用いて、管理モデルの計算機実験を行った。死骸は5日間で消失、死骸発見のための踏査間隔を30日間隔と仮定し、発見数を補正して推定衝突数とした。計算期間は、計画段階5ヶ年、稼働期間17ヶ年の合計22年間とし、3年毎に稼働管理計画を見直して、稼動率と保護増殖措置の有無、管理下における個体群サイズを得た。設備利用率は、北海道における2003〜2005年の実績値から推定し、計算機実験で得られた稼動率を乗じて管理対策による設備利用率とした。あらかじめ損益分岐点となる設備利用率の限界点を求めておき、これを割り込む程度を管理の事業破綻率とした。その結果、エンドポイント(個体群サイズ自然変動幅99.9%区間下限値)達成率を99%以上、なおかつ事業破綻率を10%以下とする条件は以下の通りであった。楽観的シナリオにおいては、2種類の管理シナリオと保護増殖措置の導入条件に左右されなかった。これに対して、悲観的シナリオにおいては、必要に応じて稼働率をゼロにし、なおかつ保護増殖措置の開始を稼働率90%もしくは99%の時点で導入する管理シナリオでのみ達成された。管理を実行していく上で残された課題は、死骸消失実験による消失日数の把握、発見率向上のための衝突自動監視装置等の開発、定期的な死骸踏査、個体群モニタリングによる成長率と個体群サイズ推定、道内営巣つがいによる繁殖成績の把握、事業破綻に備えたリスクヘッジである。
著者
柴田 由紀枝 岩崎 雄一 竹村 紫苑 保高 徹生 髙橋 徹 松田 裕之
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.183-188, 2020 (Released:2020-11-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2

和賀川の清流を守る会 (以下, 守る会) は, 岩手県を流れる和賀川を公害から守り, 清流を保護することを目的として多様な利害関係者によって1972年に結成された。上流域に存在する休廃止鉱山の水質監視を主要な活動の1つとして, 守る会は, 会発足時から河川での水質調査, 1976年からは鉱山での水質調査を開始し, 測定結果を会報で報告している。排水基準を超過した場合も含むすべての測定結果が, 会報で公開・議論されている点は情報公開のあり方の点からも興味深い。また, 会報のテキスト分析によって, 1972年から2019年までの間に, ①公害への危惧, ②休廃止鉱山での水質監視や鉱害防止対策, ③水生生物など自然環境全体の保全, と会報の話題が変化していることが示された。守る会の活動を分析・整理した本研究の成果は, 排水基準の遵守のみに依拠しない休廃止鉱山における柔軟な坑廃水管理を検討する上で貴重な基礎資料となると考えられる。
著者
鬼頭 秀一 丸山 康司 佐藤 哲 井上 有一 池田 啓 桑子 敏雄 丸山 徳次 白水 士郎 森岡 正博 松田 裕之 森岡 正博 蔵田 伸雄 松田 裕之 瀬戸口 明久 立澤 史郎 福永 真弓 吉永 明弘 富田 涼都 安田 章人 二宮 咲子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

生物多様性保全と自然再生の理念は、地域社会の文化や社会のあり方と密接に結びついており、そのようなものを統合した「地域再生」の理念と深い関係がある。そのため、自然と社会や文化の入れ子状態の中で、「サステイナビリティ」などの自然にかかわる理念も社会や文化の理念から再定義されなければならない。そのようなことを実践的に可能にするための人材育成のあり方を実践的に提示するとともに、生物多様性保全や自然再生が、治水や災害などの問題も含めた包括的な環境や社会のあり方、さらには、エネルギーや脱炭素化社会の構築にも展開できる社会的な論理を提示した。『環境倫理学』(東京大学出版会)を出版してその成果の内容を提示した。
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>
著者
松田 裕之
出版者
甲子園大学
雑誌
甲子園大学紀要 (ISSN:18815731)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.123-162, 2007
被引用文献数
1

電気を利用して遠隔地間で情報交換を行う画期的なイノヴェーション=モールス電信方式は、自然条件や距離の制約に煩(わずら)わされることなく、地球上どこにいてもリアルタイムでのコミュニケーションが可能な現代型情報通信の起源に位置付けられる。それはまた、電信士という新種の専門技能職も生み出した。彼らは、短点(ドット)と長点(ダッシュ)でアルファベットや数字を表したモールス符号を自在に操り、世界規模で展開した巨大な情報通信網を機能させる。本稿では、電信士という職業が現代の情報通信労働といかなるつながりをもち、そこにどのような影響をとどめているのかについて、アメリカ合衆国を舞台として検討を加えたい。
著者
小久保 欣哉 松田 裕之 岩田 幸訓
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.47-58, 2021-06-30 (Released:2021-07-02)
参考文献数
23

In the IoT ecosystem built by data platformers, algorithms are building further competitive advantages in large-scale teacher data and machine learning by increasing predictability through self-enhancement actions. It is hard to say that Japanese companies have a strong presence in the platform business, and it is not easy to build an advantage for Japanese companies from the viewpoint of population size and language. Therefore, in the business area which does not necessarily depend on large-scale data, we constructed deferred acceptance (da) algorithm and sought the area in which the optimal allocation of resources can be realized by providing them. As a result, it was suggested that the current assignment can be significantly improved by using the da algorithm. Japanese companies wonder if they can build a competitive advantage by steadily creating optimal algorithms in fields that do not rely on large-scale data or machine learning.
著者
吉村 拓馬 大西 紀子 惠良 美津子 松田 裕之 小橋川 晶子 広瀬 宏之 大六 一志
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.144-153, 2019 (Released:2020-12-03)
参考文献数
34

【目的】療育手帳制度は知的障害児者に対する主要な施策の一つだが,全国で統一された制度ではなく,各自治体が規定・運用している。従来,制度自体の不備や自治体間の判定基準の違いは指摘されてきたが,判定に際して児童相談所で実施される知能検査や発達検査に言及した研究は皆無である。判定に関わる検査の扱いについて,各自治体の現状の把握を目的に調査を行った。【方法】全国の児童相談所を対象に質問紙調査を行い,60自治体161カ所から回答を得た。【結果】集計の結果,認められる検査の規定,実際に用いられる検査の割合,検査結果の説明,他機関での検査結果の活用等について,自治体間で大きく異なることが明らかとなった。【考察】手帳判定の指標としての検査が自治体によってさまざまに扱われていることは,制度の公平性や知能検査・発達検査の本来の役割という点で憂慮すべきことである。制度自体の抜本的な見直しが必要であると考えられる。
著者
松田 裕之
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.228-233, 2011 (Released:2019-12-15)
参考文献数
12

Ecological impact is usually evaluated by the value of ecosystem services. I introduce a method to evaluate biodiversity. The red data book of Japanese vascular plants is based on their extinction risk. During evaluation of this red data book, about 2000 taxa were evaluated using population data and rates of decline for ca.4400 grids, each of ca.100 km2. This database can be used to estimate the impact of human activity on extinction risk of threatened plants. In order to evaluate extinction risks and apply the evaluation to conservation actions, the mean time of extinction and discount mean time to extinction are defined as measures of extinction risk. The present value of a species’ persistence in the future decreases exponentially. Increases of the inverse, and logarithm, of the discount mean time to extinction are also considered measures of the extinction risk. We applied these measures to an environmental impact assessment for the Japanese World Exposition that was held in 2005, Aichi Prefecture. Development will have a greater impact on threatened Salvia species than star magnolia, which has been conserved by changing the site plan.
著者
加藤 絵里子 浅見 和弘 竹本 麻理子 沖津 二朗 中沢 重一 松田 裕之
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.77-89, 2014-03-30 (Released:2014-04-18)
参考文献数
16
被引用文献数
2

福島県阿武隈川水系大滝根川に建設された三春ダムでは, 貯水予定区域内にフクジュソウが自生しており, 冠水の影響を受けることが明らかであった. そのため, 冠水前に, 一部を自生地に残し, 残りを保全措置として冠水しない 4 地点に分けて移植した. 本研究では, 試験湛水前の 1996 年から 2009 年までの 14 年間, フクジュソウの個体群を追跡した. 自生地では試験湛水後, 個体数は増加傾向にあり, 開花個体 (F), 結実個体, 芽生え (S), 幼植物 (J1~J4) も存在していた. 移植地 4 地点のうち造成地は, 移植後, 大幅に個体数が増加し, 生育している面積も拡大傾向であった. 残り 3 地点のうち自生地と同様の落葉樹林下の 2 地点は, 移植後 14 年を経た 2009 年段階で, 開花個体 (F), 結実個体, 芽生え (S), 幼植物 (J1~J4) も生育していたが, 開花個体 (F) 数に着目すると減少傾向であった. 自生地とは立地環境が異なり, 生育に不適と考えられた 1 地点では, 個体数は減少し, 2006 年以降開花が見られない状態であった. 生活史ステージごとに収集したデータを元に, 50 年間のフクジュソウ個体群存続確率を予測した. その結果, 自生地および造成地は長期的に個体群が維持されると予測された. 自生地と同様の落葉樹林下の 2 地点は 15~17 年は維持され, 生育に不適な地点は約 6 年で消失すると算出された. 2009 年のフクジュソウ開花・結実個体数は, 移植時より多い個体数までに回復し, 生育している面積も湛水前の自生地より広くなっている. 今後も少なくとも 2 地点では長期にわたり存続が可能であり, 移植により個体群は維持できると考えられる.
著者
松田 裕之 矢原 徹一 竹門 康弘 波田 善夫 長谷川 眞理子 日鷹 一雅 ホーテス シュテファン 角野 康郎 鎌田 麿人 神田 房行 加藤 真 國井 秀伸 向井 宏 村上 興正 中越 信和 中村 太士 中根 周歩 西廣 美穂 西廣 淳 佐藤 利幸 嶋田 正和 塩坂 比奈子 高村 典子 田村 典子 立川 賢一 椿 宜高 津田 智 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-75, 2005-06-30
被引用文献数
20

【自然再生事業の対象】自然再生事業にあたっては, 可能な限り, 生態系を構成する以下のすべての要素を対象にすべきである. 1生物種と生育, 生息場所 2群集構造と種間関係 3生態系の機能 4生態系の繋がり 5人と自然との持続的なかかわり 【基本認識の明確化】自然再生事業を計画するにあたっては, 具体的な事業に着手する前に, 以下の項目についてよく検討し, 基本認識を共有すべきである. 6生物相と生態系の現状を科学的に把握し, 事業の必要性を検討する 7放置したときの将来を予測し, 事業の根拠を吟味する 8時間的, 空間的な広がりや風土を考慮して, 保全, 再生すべき生態系の姿を明らかにする 9自然の遷移をどの程度止めるべきかを検討する 【自然再生事業を進めるうえでの原則】自然再生事業を進めるうえでは, 以下の諸原則を遵守すべきである. 10地域の生物を保全する(地域性保全の原則) 11種の多様性を保全する(種多様性保全の原則) 12種の遺伝的変異性の保全に十分に配慮する(変異性保全の原則) 13自然の回復力を活かし, 人為的改変は必要最小限にとどめる(回復力活用の原則) 14事業に関わる多分野の研究者が協働する(諸分野協働の原則) 15伝統的な技術や文化を尊重する(伝統尊重の原則) 16目標の実現可能性を重視する(実現可能性の原則) 【順応的管理の指針】自然再生事業においては, 不確実性に対処するため, 以下の順応的管理などの手法を活用すべきである. 17事業の透明性を確保し, 第3者による評価を行う 18不可逆的な影響に備えて予防原則を用いる 19将来成否が評価できる具体的な目標を定める 20将来予測の不確実性の程度を示す 21管理計画に用いた仮説をモニタリングで検証し, 状態変化に応じて方策を変える 22用いた仮説の誤りが判明した場合, 中止を含めて速やかに是正する 【合意形成と連携の指針】自然再生事業は, 以下のような手続きと体制によって進めるべきである. 23科学者が適切な役割を果たす 24自然再生事業を担う次世代を育てる 25地域の多様な主体の間で相互に信頼関係を築き, 合意をはかる 26より広範な環境を守る取り組みとの連携をはかる
著者
梶 光一 高橋 裕史 吉田 剛司 宮木 雅美 鈴木 正嗣 齊藤 隆 松田 裕之 伊吾田 宏正 松浦 由紀子 上野 真由美 及川 真里亜 竹田 千尋 池田 敬 三ツ矢 綾子 竹下 和貴 吉澤 遼 石崎 真理 上原 裕世 東谷 宗光 今野 建志郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

洞爺湖中島のエゾシカ個体群は、2度の爆発的増加と崩壊を繰り返して、植生に不可逆的な変化をもたらせた。その後落葉に周年依存するようになり、2008-2012年の間、高い生息密度(45~59頭/km^2)を維持していた。落葉はかつての主要な餌であったササよりも栄養価は低いが、生命・体重の維持を可能とする代替餌として重要であり、栄養学的環境収容力の観点から高密度を維持することが可能な餌資源であることが明らかになった。