著者
広沢 俊宗
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.121-138, 2007-03-31

新入生がその大学に適応していく過程において,対人関係面と学習面の2つの側面が重要である。ここでは,学習面に焦点を当て,大学新入生の適応過程について考察する。とりわけ,本研究では,大学に入学して半年後(前期の成績を受け取った10月時点で),自分が学習面で適応していると思っている学生とそうでないと思っている学生とでどのようなちがいがあるかを明らかにすることを目的とするものである。結果,入学して半年後,学習面で適応している学生はそうでない学生に比べ,成績が良く,学部・学科に適応しており,大学生活における授業へのウエイトのかけ方も高いことが示された。また,大学での学習面のみならず対人関係面においても自信をもっており,この傾向は高校時代から受け継がれていることが明らかにされた。さらに,高校までの学習技術や学習特性が,入学して半年後の学習適応に多大な影響を及ぼしていることが示された。ただし,学習技術や学習特性におけるある特定の因子については,入学後の半年間で向上していることも明らかにされた。よって,学習技術や学習特性は入学時のフィルターとして効力を発揮するとともに,初年次教育における重要な要因であることが裏づけられた。ただし,さまざまな変数が学習適応にどのように関与しているかは,さらに詳細に検討する必要があり,今後の課題としたい。

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RT @kotoriya : 学校適応に関する論文を読んでいる。http://ci.nii.ac.jp/naid/110006424650
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