- 著者
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須藤 義人
- 出版者
- 沖縄大学人文学部
- 雑誌
- 沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.53-64, 2006-10
現在、子どもをめぐる諸問題が多発してきている。本研究の目的は、その問題解決の手掛かりを<子ども像>の元型(アーキタイプ)に求め、民俗雑誌に記録された先人の知恵と知識を振り返り、<子ども像>の諸相について研究することにある。そのために、様々な民俗祭祀を事例として<子ども像>について比較し、過去の<子ども像>を浮かび上がらせることを重視している。このような研究姿勢は、「<子どものあるべき姿>を追いかける郷的愁(ノスタルジック)な視点である」と椰楡されるかもしれない。しかし、<子ども像>の過去形を踏まえた上でしか、<子ども像>の現在形や未来形をも内包する「子ども文化」を描き出せないであろう。結論部分では、このような視座に基づき、民俗学的な考察を踏まえて「子ども文化」の定義を提言してみたい。さらに各論の中では、現代の「地域教育」の観点から見て、子どもが民俗祭祀に関わることの重要性についても検討する。