著者
須藤 義人
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-77, 2004-03-31
被引用文献数
2

近年、各メディアからの情報を主体的に判断し、発信伝達できる能力や情報モラルが若年層に求められている。メディアリテラシー教育としてのNIE実践授業は、<メディアを使いこなし、メディアの提供する情報を読み解く能力>を育む学習方法として有効である。沖縄尚学高等学校附属中学校の特設科目「情報基礎」では、スキル中心の情報教育ではなく、情報コンテンツを重視して、授業カリキュラムにデジタル的な作業(Web制作)にアナログ的な作業(新聞分析)を取り入れた。2003年度より適用された新高等学校指導要領では、高等学校の普通教科「情報」の目標を、小学校での<総合的な学習の時間>における情報分野の取り組み、中学校での技術・家庭「情報とコンピュータ」といった情報教育の取り組みと合わせた形で、(1)情報活用の実践力、(2)情報の科学的な理解、(3)情報社会に参画する態度、という三つの観点から養成することを掲げている。本教科「情報基礎」の学習領域は、高等学校の普通教科「情報C」の基礎部分にあたる。情報活用の能力のうち、今後重要視される能力は、活字メディアからの情報コンテンツの受容能力とデジタルメディアを使った表現能力であろう。そこで特設科目「情報基礎」では、メディアにおける情報発信者としての恣意性と情報受信者としての読み解く能力を多面的に理解させることを目標とした研究授業を展開した。NIE教育の新たなる展開として、実践の対象を、中等教育(中学校・高等学校)だけでなく高等教育(大学)にまで拡大することが望ましいと考える。
著者
須藤 義人
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.8, pp.53-64, 2006-10

現在、子どもをめぐる諸問題が多発してきている。本研究の目的は、その問題解決の手掛かりを<子ども像>の元型(アーキタイプ)に求め、民俗雑誌に記録された先人の知恵と知識を振り返り、<子ども像>の諸相について研究することにある。そのために、様々な民俗祭祀を事例として<子ども像>について比較し、過去の<子ども像>を浮かび上がらせることを重視している。このような研究姿勢は、「<子どものあるべき姿>を追いかける郷的愁(ノスタルジック)な視点である」と椰楡されるかもしれない。しかし、<子ども像>の過去形を踏まえた上でしか、<子ども像>の現在形や未来形をも内包する「子ども文化」を描き出せないであろう。結論部分では、このような視座に基づき、民俗学的な考察を踏まえて「子ども文化」の定義を提言してみたい。さらに各論の中では、現代の「地域教育」の観点から見て、子どもが民俗祭祀に関わることの重要性についても検討する。
著者
須藤 義人
出版者
沖縄大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

弥勒芸能を図像学の視点から体系化するために、来訪神信仰に関する資料収集と調査を行った。弥勒芸能は「マレビト芸能」の一種であると位置づけ、他の来訪神(マレビト)を表象する仮面芸能との比較研究を進め、『マレビト芸能の発生』(芙蓉書房出版)という研究書にまとめた。