- 著者
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山口 洋
- 出版者
- 佛教大学社会学部
- 雑誌
- 社会学部論集 (ISSN:09189424)
- 巻号頁・発行日
- no.39, pp.151-159, 2004-09
- 被引用文献数
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選択肢の順序効果は調査論で古くから知られているが,種々の効果を生み出す原因や条件の体系的研究は比較的最近まで不在だった。しかし近年,調査論への認知科学的接近の隆盛により,選択肢の順序効果の研究も体系化されてきた。本稿はその成果を要約し,今後の課題を示した。すなわち選択肢の順序効果は(1)順番「そのもの」の効果と,(2)先行する選択肢の内容の効果に分けられ,(1)についてはリストの視覚的提示により初頭効果が,聴覚的提示により新近性効果が起きやすく,(2)については極端な評価を受ける選択肢があると,その後の選択肢で対比効果が生じやすいとされる。今後の課題としては,より周到な実験デザインで,(1)(2)の効果を分離することである。選択肢の順序効果初頭効果新近性効果対比効果