著者
田中 優子 楠見 孝
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.514-525, 2007-12-30
被引用文献数
8

本研究では,大学生を対象とし,目標や文脈という状況要因が批判的思考の使用に関わるメタ認知的判断に及ぼす影響を検討することを目的として,研究1では,批判的思考が「効果的」な文脈と「非効果的」な文脈を収集した。研究2では,収集した文脈の分類を行い,それぞれの特徴を抽出した。2つの文脈にはそれぞれ異なる特徴がみられた。研究3では,「正しい判断をする」「物事を楽しむ」という2つの目標と文脈を独立変数として,批判的思考をどの程度発揮しようとするかというメタ認知的な判断に及ぼす影響を検討した。その結果,「物事を楽しむ」という目標よりも「正しい判断をする」という目標においてより批判的思考を発揮しようと判断すること,同じ目標であっても文脈によって批判的思考の発揮判断が変化することが明らかになった。さらに,批判的思考の発揮判断は,目標や文脈を考慮するものの全体的に批判的思考を発揮しようとするタイプ,効果的な文脈で非常に高く批判的思考を発揮しようとするタイプ,非効果的文脈では目標に関係なくほとんど発揮しようとしないタイプという3タイプによって特徴づけられることが示された。

言及状況

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本日は3年ゼミで「批判的思考の使用判断に及ぼす目標と文脈の効果」という論文を読んだが、ゼミ生が難しいと言っていた。批判的思考とかメタ認知とか、あまり接したことがない概念に接した時点で認知的な資源を枯渇させてしまったのだろうか。http://t.co/fj3M8Ml4u5

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