著者
辻村 みちよ 山西 貞 吉松 藤子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
お茶の水女子大學自然科學報告 (ISSN:00298190)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.100-104, 1953-03

昆布は海国日本の特有食品で古来より食用に供せられて来た。その産額も非常に多く我国の蔬菜類中第2位を占める漬菜の年産額に近い。従来昆布の食品的意義は主としてその旨味成分のグルタミン酸,マンニット及び無機成分にあると考えられている。之等は昆布中比較的含量多い物質であり,其の他の成分については殆ど不明である。著者の1人は生長促進因子であり且皮膚機能並びに体毛発育を正常ならしめる因子であるFlavinの各種海藻に於ける含量を種々の方法で定量して,昆布中には比較的多量の900γ%内外を含むことを知った。今回は動物試験によって生体に直接作用する結果を究明せんとして次の実験を行った。即ちFlavin欠乏食で30余日飼育し欠乏症顕著となったRat 16匹につき(1)欠乏群,(2)フラビン燐酸エステル給与群及び(3)昆布粉末給与群の3群に分け試験した。その結果,欠乏群は発育惡く,毛並粗く乱れ,遂に死亡するものも出た。之に対しフラビン群及び昆布群は発育何れも正常で毛並も整っていた。猶ほ昆布群は発育,毛の長さ並びに密度,艶等に於てフラビン群よりも一般に良好であった。之により昆布がFlavin以外に何か他の有効物質を含有する如く思われるが之については尚精査を要する。只,今回の実験に於ては少くとも昆布中のFlavinが主として動物の発育,及び毛並を良好ならしめた事実を報告する。

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編集者: Fukupow
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